2002年高校サッカー県予選決勝、誤審でゴールが「幻」となった元日本代表の青山さん…引退を機に当時のメンバーで再々試合
2002年の全国高校サッカー選手権岡山県予選決勝で、誤審により明暗が分かれた作陽(現作陽学園)と水島工の当時のメンバーが22日、岡山県倉敷市内で“再々試合”を行った。作陽出身で、今季限りで現役を引退した元日本代表の青山敏弘さん(38)の引退記念試合として行われ、1―0で作陽が勝利。熱戦を展開した両校OBたちは、わだかまりを乗り越え、雪解けムードの中で健闘をたたえ合った。 22年前の誤審は延長前半、青山さんのシュートを巡って起きた。Vゴールが決まったかと思われたが、ボールはゴール内の支柱に当たって外に飛び出し、得点と認められなかった。試合はPK戦を水島工が制し、「幻のゴール」として全国ニュースにもなった。後に日本サッカー協会が誤審と認め、両校選手の間にわだかまりが残った。
その後、水島工GKだった宮本寛さん(39)と作陽主将だった桜内光太さん(40)が再会したのを機に12年、再試合が実現。結果は引き分けだったが、わだかまりも消えた。今回、青山さんがサンフレッチェ広島を引退することになり、これまでの活躍をたたえようと両校OBが再び集結し、再々試合を行うことになった。 試合では、背番号10の青山さんが、持ち味の鋭い縦パスを繰り出してチャンスメイク。15分、水島工DFの隙を突いた作陽の選手のシュートがゴールネットを揺らした。
「最後にこのユニホームで戦えて幸せ」
試合後、涙を流して青山さんと健闘をたたえ合った宮本さんは「誤審は大きな事件として心の中に残っていた。今日の試合はとても楽しく、終わった時に言葉にならない感情がこみ上げた」。青山さんは「作陽出身であることがずっと誇りだった。最後にこのユニホームで戦えて本当に幸せ」と晴れやかな表情で話した。