カリフォルニアで絶滅したはずのオオカミが1世紀ぶりに復活した理由とは?生態も【動物ドッキリクイズ】
かつてオオカミは北米大陸に広く分布していましたが、徐々にその生息域は狭まっていき、少なくとも1920年代までにはカリフォルニアでは絶滅したと信じられていました。理由は人間社会との確執です。 【写真5枚】オオカミには孤独のイメージがつきまとうが、実際には群れを成す社会的な動物。雪の中で群れを成す様子や、草原の中で歩く様子などを写真で見る まず人間がオオカミの主食となる鹿など野生の草食動物を奪い、やむなくオオカミは生存のために牛や羊といった家畜を襲うようになりました。すると人間はオオカミを「害獣」とみなし、見かけ次第に駆逐するようになったのです。 『シートン動物記』中の名作『狼王ロボ』も、シートンが何頭もの牛を繰り返し襲ったロボの捕獲を牧場主から依頼された経緯から物語が始まります。舞台はカリフォルニアではありませんが、そこから遠くないニューメキシコ州。時代は19世紀の終盤です。 1924年に最後の1頭がカリフォルニア州北部のラッセン郡で殺されて以来、ほぼ1世紀に渡って同州内ではオオカミが発見されることはありませんでした。ちなみに日本でニッポンオオカミが最後に発見された頃とほぼ同時期です。 しかし、1973年に米国連邦議会で制定された「絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律」(Endangered Species Act of 1973)を契機として、イエローストーン国立公園でオオカミを再導入する試みが開始され、遠く離れたカリフォルニア州にも変化が訪れようとしています。 まず、2011年に1頭のオオカミがカリフォルニア州北部に現れたことが大きな話題になりました。この個体はオレゴン州から1,000マイル(約1,600キロ)ほど移動したと考えられていて、OR-7と名付けられました。ORはオレゴン州(Oregon)の略称です。 その後も何回かカリフォルニア州内でオオカミの発見例が続きました。2023年にロサンゼルスのすぐ近くの山中にまで南下してきた、しかも群れを形成していたということで、確実にオオカミの存在が生態系に復活しつつあることを示しています。