五輪放映権を持つ米NBCが森会長の辞任を要求する意見記事「彼は去らねばならない」
そして「問題はIOCに留まらない。大坂なおみが、適切に『本当に無知』と呼んだ森氏の発言は日本で広く問題となっていることの一部だ。この国は世界経済フォーラムによる2020年世界ジェンダーギャップ指数の調査で153カ国中121位にランクされた」と、日本で性差別問題が根強く残っている点を指摘した。 「性差別の舞台は、長年、日本や広範囲な五輪活動の両方で見られてきた。森氏は、それを世界に向けて明らかにするカーテンを開け放ったに過ぎない。性差別発言のために誰かが職務を失うに値する時があるとすれば、それは今だ。過去にたまったものがあり、それを支払うべき時がやって来た。森氏にとって退任すべき時は過ぎている」と強烈な主張を展開した。多大な放映料を支払っているNBCの主張はIOCの判断になんらかの影響を与えるものと考えられる。 またCBSニュースも、「性差別発言を受けた辞任要求が東京五輪のボス、森氏に向けて高まる」との見出しを取り、日本で辞任要求の声が高まっていることを紹介した。 「東京五輪を任される人物への抗議の嵐は収まる気配を見せない。この危機に対応するために委員会が招集され、この論争の決着の場となる可能性が金曜日に用意される中で、組織委員会の森会長に辞任を求める声は高まりを見せている」と伝えた。 記事は、「世論調査のひとつは日本人の約60%が森氏は五輪大会を率いるのに適していないと考えている。米国での婦人参政権の運動を呼び起こすように、敵対する女性政治家たちは白のジャケットに身を包み、抗議のために国会を彩った。およそ400人の五輪ボランティアが参加を辞退し、東京都庁には怒りの電話が殺到している」と紹介。さらに大会スポンサーから次々と非難声明が出ていることをとりわけ問題視した。 「水曜日段階で14万5000人が森氏の対応に抗議し、善後策を求めるオンライン署名に参加した。日本や海外のアスリートたちは彼の辞任を求めた。IOCにとって最も胃が痛くなることは、もしかすれば巨大な利益を期待できる企業スポンサーが、東京五輪組織委員会会長の発言と(企業が)関係することに不満を表していることかもしれない」 記事はまた「地球上で最も名声高く開放的な行事のひとつであるべきとされるもの(五輪)をガサツな性差別と並べたことは、圧倒的な世論の反発に対して苦悩を見せている東京五輪大会主催者が厄介者であることを証明してしまった」とも記した。 同記事は森会長のトップとしての資質を問う意味で、過去の失態も掘り起こした。 「森氏にとって、こうした屈辱は初めてではない。元首相は、日本の戦後史におけるリーダーの中で2番目に低い支持率だった。ちょうど20年前には、日本の高校の実習船が米軍の原子力潜水艦グリーンビルに衝突し沈没したニュースを知らされたとき、森氏はゴルフをしていた。この事故では、高校生と教員を含め9人が犠牲となった。森氏は自分のプレーが終わるまでコース上に留まっていた」 “外圧”に弱いのが日本の政治だが、ついに国際世論までが強まった。森会長の進退は、いよいよ後がなくなったのかもしれない。