「もう笑うことができないかも…」出産直後に感じた罪悪感 小さく生まれた赤ちゃん家族の不安
日本では、およそ20人に1人が早産で生まれています。家族会などの調査では、9割を超える家族が「子どもが早産で生まれて不安や悩みを抱えている」と答えました。しかし、赤ちゃんや家族へのサポートは十分とは言えません。11月17日の「世界早産児デー」を前に、東京都庁で啓発イベントが開かれ、当事者家族の状況について語られました。(withnews編集部・河原夏季) 【画像】23週552g、早産で生まれた赤ちゃん ※世界早産児デーとは:早産の課題や負担に対する意識を高めるために、2008年にヨーロッパNICU家族会や提携する家族会によって制定された記念日です
不安が爆発してしまうことも
「実際に知らないだけで、小さく生まれた赤ちゃんは皆さんの周りにもたくさんいるのではないかと思います」 11月16日、都庁で開かれた「世界早産児デー啓発イベント2024」。当事者家族のゴーウィンかおりさん(44)が、参加者へ呼びかけました。 日本では、多くの赤ちゃんは妊娠37~41週(正期産)で生まれ、平均出生体重は約3000gです。一方、22~36週は早産で、厚生労働省の人口動態調査によると、2023年は約4.2万人。生まれてくる赤ちゃん全体の約5.7%でした。 早産の場合、2500g未満で小さく生まれることもあります。2500g未満の赤ちゃんは「低出生体重児」と呼ばれ、より早く小さく生まれるほど、命の危険や障害、病気のリスクが高くなります。 ゴーウィンさんは2019年、予定日より約2カ月早く854gの長男を出産しました。 「出産直後、小さく未熟に産んでしまった罪悪感と自責の念にさいなまれました」。ゴーウィンさんは、「この先どうなるのだろう、もう笑うことができないかもしれない」と追い詰められていたといいます。 長男が退院した後も、ときには不安な気持ちが怒りとなって爆発してしまうことがありました。 「不安定な精神状態で育児をしているので、支えてくれる家族や支援者からの『頑張れ』という励ましにも『もう頑張れない』と怒ってしまいました。関係を良好に保つことに苦労しました」