与野党対立が戒厳令にまで突き進んでしまう韓国、その国民性を象徴していた女子大の共学化反対デモ
大統領が「非常戒厳」を宣言したことで韓国社会が混乱している。わずか6時間で宣言は解除されたが、市民による激しい抗議活動も起きた。突然の戒厳令の背景には激化する与野党対立が指摘されるが、政治的に鋭くぶつかりあう韓国の国民性もありそうだ。そうした土壌を象徴する、ある女子大で起きたデモについて考えてみたい。 【写真】戒厳令布告後、軍部が国会議事堂に侵入した際に破壊された国会議事堂の一部 (立花 志音:在韓ライター) 11月の初めに、韓国ソウルにある同徳女子大学で共学化反対のデモが起こった。この学校は、ソウルで一番小さな女子大だと自称する中堅大学である。 韓国の大学は、急激な少子化と高学歴志向、ソウル志向の影響を受けて、地方を中心に定員割れが続出し、リストラクチャリングを迫られている。人員整理ではなく、組織やシステムの再構築である。 特に近年は、SKYと呼ばれるトップ校、ソウル大、高麗大、延世大の女子学生の割合も増え、女子大人気は停滞し続けている。 日本でも、女性の大卒志向と共学志向に押されて、2000年頃から短大が生き残りをかけた4年生大学への統合や女子大の共学化が行われた。それが時代の流れだということは当時から理解していたし、それに対して学生が何かを主張する事件が起こった記憶はない。 筆者が卒業した短大は、筆者たちが卒業するのと同時にその名前を消し、4年制大学だけが今も残っている。 そのことは入学した時点で分かっていたので、1年生の2学期の時点で、2年間での卒業が難しいと判断された成績不良の学生は退学を余儀なくされた。私立の学校はそういうものだろうと日本人は思っている。基本的に学校側の方針に賛同している学生が、在籍する場所だと認識されているからである。 しかし、今回の同徳女子大のデモを調べてみると、行動は非常に過激で、半世紀以上前に日本で起きた学園紛争かと思われるようなシーンも見られた。一時休戦状態になっているように見えるが、3回の協議を経ても、話し合いは平行線で、着地点は全く見えていない。 今回はこの事件を通して、筆者が考える韓国人と韓国社会の根深い問題点を、解説したい。