駐車場に50年間眠っていた10点のダリ作品を発見! ロンドンのオークションへ
サルバドール・ダリ(1904-1989)は20世紀で最も有名な芸術家の1人であり、「溶ける時計」や「ロブスターの電話」などの不思議なモチーフでシュルレアリスムの旗手となった。最近では、フロリダのサルバドール・ダリ美術館に、AIによってダリと会話が出来るロブスターの電話が設置されて話題となった。 そんなダリのリトグラフ10点がロンドンの高級住宅街、メイフェアの住宅のガレージで見つかり、イギリスを拠点にするオークション会社、ハンソンズ・オークショニアズに出品される。
リトグラフを発見したハンソンズ・リッチモンドのアソシエイト・ディレクター、クリス・カーカムは、当時をこう振り返っている。 「あれは驚くべき発見でした。ある顧客の家に骨董品の査定に招かれ、ガレージに案内されたのですが、そこにダリのリトグラフの束があったのです。それらは50年ほど前からしまい込まれ、忘れられていました。とてもシュールな気分でした。訪問査定は何が出てくるかわからないものです」 カーカムによると、持ち主の男性は1970年代にロンドンのギャラリーで行われた閉店セールで、このリトグラフをまとめて500ポンド(現在の為替で約10万円)で購入したという。彼はこの作品を額装するつもりだったが、ガレージにしまったまま忘れてしまったようだ。カーカムは、「彼はリタイアして海外に移住しようと計画しており、家財を整理していました。ダリのリトグラフは、このタイミングでようやく日の目を見ることになったのです」と付け加えた。 9月30日にハンソンズ・リッチモンドで行われるオークションでは、ガレージで一緒に見つかったフランスの画家・彫刻家のテオ・トビアス(1927-2012)のリトグラフ5点も同時に出品される。予想落札価格は、ダリの作品が1点300~500ポンド(約6万~10万円)、トビアスの作品が100~300ポンド(約2万~6万円)。全て合わせると5000ポンド(約95万円)ほどになる見込み。 ちなみにダリのリトグラフの最高値は、2023年3月にフランスのオークションハウス、オセナで行われた《Madone à l'Enfant ou Madone Sixtine》(1957)の5万6000ドル(同・約1068万円)。ダリ作品の最高値は2011年にロンドンのサザビーズで落札された油彩《Portrait de Paul Éluard》(1929)の1350万ポンド(現在の為替で約25億7000万円)だ。(翻訳:編集部)
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