日銀・黒田総裁会見10月31日(全文2)消費増税の影響は前回より小さい
追加緩和の場合、副作用対策は?
共同通信:もう1点、すいません。最近幾つかの金融機関のトップから、マイナス金利の深掘りを念頭にしているかと思うのですが、日銀の政策に対してやや疑問視する声が出てるかと思います。それから前回会合以降、アメリカだったと思うんですが、総裁は講演で副作用対応の必要性を言及されているかと思います。今後、仮に利下げに踏み切る場合は利下げといいますか、追加緩和に踏み切る場合、副作用対策を打つ考えがあるのか、その辺りをよろしくお願いします。 黒田:これは具体的に追加緩和を検討して行うときに、そのときの経済物価、金融情勢を踏まえて判断することだとは思いますけれども、まず第一に低金利環境が長期化していますので金融仲介機能とか、市場機能に及ぼす影響など、政策のコスト面にも一段と留意が必要になっていることは事実なんですね。 ただ、政策のコストとベネフィットを比較、考慮した上で必要と判断すれば、金融政策面から対応するということには変わりはありませんので、政策コストがあるから追加緩和を行うことができないとは考えていません。ただ、コストっていうものを十分考慮しないといけませんので、そのときに必要があると考えればそういった副作用、コスト面に対する対応も検討していくことになると思います。 ただ具体的に今回の金融政策決定会合では、金融緩和措置を検討したわけではありませんので、モメンタムの評価をして、物価安定を目標に向けたモメンタムが一段と、モメンタムを損なう可能性が一段と高まっているということではないということで現状維持ということを決めましたので、そういったことについて具体的な検討はしてませんけども、従来から申し上げているとおり、当然ベネフィットとコストを十分比較、考慮をして適切な政策を取るということになると思います。
逆に分かりづらくなった印象があるが?
朝日新聞:すいません、朝日新聞の【テラニシ 00:40:08】です。フォワードガイダンスの見直しで、先ほど少なくとも来年3月までと言ってたとか、それを超えてかなり長く続くとおっしゃいましたけども、これはいつごろっていうか、来年いっぱいぐらいは今の還付が続くという、時期的なものっていうのはあるんでしょうか。というのは、フォワードガイダンスって市場との対話とか外部との対話を含めて、より金融政策の方向性を分かりやすくするものであるはずなのに、時期を取ってしまうと、逆に分かりづらくなったという印象があるんですけども、その辺り。 黒田:これは諸外国の中央銀行のフォワードガイダンスでも、カレンダーベースのことをやった場合もありますけども、最近というか、多くの場合やはり物価安定目標との関係とか、そちら、データディペンデントだっていうことからいうとどうしてもそうなるわけですけども、それにひも付けてフォワードガイダンスつくっている例が多くなっています。 リーマンショック後とか、あるいは物価上昇率が非常に下がってしまっているときとか、そういうときに少なくともいついつまでは必ずこういう緩和とか低金利を続けますという、そういう意味は非常にあると思うんですけども、現在のような欧米の場合もそうですし、日本の場合も、むしろその物価安定目標にひも付けて、日本の場合ですと物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れが、ある期間においてはこういうことをずっと続けますといったほうがよりコミットメントとしてはっきりしてしっかりしてるというふうに考えたわけであります。