日銀・黒田総裁会見10月31日(全文2)消費増税の影響は前回より小さい
より短い金利をターゲットにするアイデアはどうか?
ロイター:もう1点お願いします。最近パウエル議長をはじめ、Fedの幹部からYCCについての発言が増えてるんですけれども、先月パウエル議長は追加緩和というか、金融緩和の手段としてYCCのようなものも検討に値するというか、1つであるという発言をした上で、比較的短いところをターゲットにするのがいいのではないかという趣旨の発言をされています。日銀は現在10年の金利をターゲットにしているんですけれども、超長期金利があまり下がり過ぎないようにしつつ、短中期、しっかり金利下げていきたいっていうことを考えると、例えばより短い金利をターゲットにしたり、短いところの金利をターゲット、今のYCCに付け加える、そういうアイデアはどうでしょうか。 黒田:そういう議論を政策委員会でしているわけではありませんので、なんとも申し上げかねますけれども、ご趣旨の意味はよく理解しました。ただ、その点についてどうなるとか、そういうことをまだ議論してませんので、なんとも申し上げかねます。
消費税増税が個人消費、日本経済に与える影響は?
共同通信:共同通信の【イノウエ 00:33:54】といいます。2点お願いします。消費税なんですが、消費税増税から1カ月たちましたが、前回増税に比べれば反動減が少ないというのが基本シナリオだと思うんですが、きのう発表の統計で小売り販売額が前回増税時に次ぐ高い伸びを示しましたが、あらためまして消費税増税の今後の個人消費、日本経済に与える影響を教えてください。 黒田:まず10月の消費税率引き上げの前の駆け込みの状況については、ある程度データが出てるわけですけども、それを見ると明らかに、例えば2014年にあったような住宅とか自動車の駆け込みっていうのはほとんど見られないと。これは政府が減税措置などを講じて、そういった駆け込みが起こらないようにしてるっていうこともあって、この辺は起こってないと。 それから家電製品とかなんかはご承知のとおり8月は冷夏で非常にエアコンとかなんかが売れなかったっていう若干の反動もあったかもしれませんし。それから2014年のときと違って、2014年のときはだいぶ、何カ月も前から家電製品なんかが売れ始めて、3月、4月の増税直前にずっとすごくあったんですけど、今回はずっと家電製品がそんなに駆け込みがなかったんですが、最後の9月の増税直前になってかなり家電製品なんかの駆け込み的な売り上げ等があったっていうことは事実なんですけども、全体として見ると、家電製品でも2014年に比べるとだいぶ駆け込みの程度は小さい。 それから食料品なんか全然駆け込む必要もないわけですし、実際にもほとんど駆け込みが起こってないということでありますので、駆け込みが前回と比べると、相当程度が小さいということは事実なんですけども、10月以降の、その後の反動がどれぐらいあるのかとか、そういったことのデータはまだ十分ではないので、まだもう少し、よく様子を見る必要はあるとは思いますけども、足元で日次とか週次の小売店の売り上げなんかを見ますと、前回のような大きな落ち込みは見られてないということだと思います。 従って、全体として消費税率引き上げの影響は2014年の引き上げのときと比べると大きくないというか、小さいということは確かだと思うんですけども、もう少し消費のいろいろなデータの蓄積を見ていく必要はあるというふうに思っています。