日銀・黒田総裁会見10月31日(全文2)消費増税の影響は前回より小さい
政策スタンスが疑われたりしないか
朝日新聞:関連で、これまで公表文のいろいろ、ちゅうちょなく追加緩和するとか、前回で言いますと今回、経済・物価情勢を点検されるというような、あらためてこの公表文に書かれて、マーケットでは今回もしかしたら追加緩和があるんじゃないかっていう見方もやっぱり出たあとはありましたよね。こういうような追加緩和姿勢を常に出されて、前進した前進したというようなことでおっしゃってこられて結局、今回も見送りであったと。こういう市場とのコミュニケーションにおいて、やると言ってやらないということで、これを続けていくと逆に政策スタンスっていうのが疑われたりっていうことはないんでしょうか。 黒田:そういうつもりはまったくありません。あくまでも金融政策はデータディペンデントがあるわけですから、そういった姿勢を常に示しておりまして、7月、そして9月の会合でもそうですけども、特に前回の会合以降、物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れっていうのが、やはり高まってることは事実ですから、相当注意して見ていく必要があるということで今回このモメンタムの評価っていうことで、かなり詳しく議論し分析して公表もしたんであります。 ですから金融政策はほかにも、どこの国でもそうですけども、データディペンデントであることは事実なんですけども現状、海外のリスクが高まっている状況でもありますし、さまざまなリスクを勘案すると、そのモメンタムが損なわれる恐れっていうのはやはり、今回、一段と高まっているという状況ではないので、前回同様の金融政策を維持することにしたわけですけれども、やはり注意が必要な状況ってのは相変わらず続いてるということは事実だと思います。
消費者への副作用は出ないのか?
朝日新聞:最後に副作用の話なんですけども、金融仲介機能とか市場機能のお話がありましたけども最近見てますと、金融機関がもういわゆる収益悪化に耐えられなくなって、いわゆる手数料とか最近でもメガバンクが窓口とかATMの振込手数料なんかを上げたりとかいうことになると、消費者にいわゆる金融緩和の副作用というのが転化されてきつつあると。それで今、今回フォワードガイダンスに書いたように、さらに【長期 00:45:42】低金利が長く続くことになると、やはり消費者への副作用という面も、一般の人への副作用という面も出てくるんじゃないかと思うんですけど、その辺りは総裁、どうお考えでしょう。 黒田:マイナス金利が日本よりも相当深掘りされてて長く続いてる欧州の例を見ましても、個人の預金金利がマイナスになるっていう例はまずないと思いますし、わが国でもそうなってないわけであります。あといわゆる口座維持手数料とかそういった金融機関が提供するサービスについてどういう手数料を取るかっていうのは、これはそれぞれの金融機関の判断ですから私から何か申し上げるっていうことはできないですけど、あくまでもやはり顧客ニーズを的確に捉えて、質の高い金融サービスを提供していくとともに非金利収入の拡大を図っていくってことも重要だと思いますけれども、いずれにせよ何か特別の負担を個人に掛けるっていうことではなくて、あくまでもサービスに見合った非金利収入っていうことをどう考えられるかってことだと思います。 ですからそれぞれの金融機関がいろいろ努力をしておられますし、それから先ほど来、申し上げてるように、わが国は相当大幅なマイナス金利を、しかも根っこからっていうんでしょうか、ほとんど全体に掛けてきた、ECBはわが国と同じような層化したシステムを最近、導入しましたけども、それにしても相当分に、わが国よりも相当大幅なマイナス金利を負荷している欧州の中央銀行の状況を見ましても、個人預金金利のマイナスっていうところは見当たらないというふうに思います。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見10月31日 全文3へ続く