「歴史的な円安」を招いた「ヤバい失言」の修正に躍起な植田日銀総裁…それでも「必然だった円安」に日銀が打つべき手
植田総裁の「失言」
日銀の植田総裁は大型連休明けの先週火曜日(5月7日)から、“失言”の打ち消しに奔走している。 【写真】小室圭さんの様子がおかしい…2年前とはまるで別人 “失言”とは、先月(4月)26日の金融政策決定会合後の記者会見で、円安に関して「基調的な物価上昇率に今のところ大きな影響を与えていない」と言い放ったことだ。あの発言は、結果的に、投機筋に、このところの急激な円安の主因とされていた日米間の金利格差を縮小するため日銀が利上げの前倒しに踏み切ることはなさそうだとの円売りに対する安心感を与えてしまい、連休中の「昭和の日(4月29日)」に海外の外国為替市場で円が34年ぶりという歴史的な安値を記録する引き金になったとされている。 そこで、植田総裁はまず、先週の火曜日、岸田総理を官邸に訪ね、会談後、記者団に、総理と説明したこととして「円安について、日銀として十分注視していく」「基調的な物価上昇率にどういう影響が出てくるか注意深くみていくということだ」と軌道修正を開始した。 その後の2日間は、衆参の財政金融委員会で、「過去と比べ為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」「基調的な物価上昇率に為替変動が影響する場合は政策上の対応が必要」とトーンを強め、連休前とはほぼ真逆の利上げの前倒しも辞さない姿勢への”変身“を加速した。 しかし、こうした騒ぎで見落とされているのが、バブル経済の崩壊以来、日本の経済力の劣化が進んでおり、遅ればせながら、その実力を反映し始めたのが今回の円安だという視点ではないだろうか。 円相場の目先の焦点は、1990年4月の安値160円35銭を割り込むのかどうかだ。仮に、そこを下回れば、次の下値のめどはチャート的に見て1985年の1ドル=238円53銭まで節目がない。 円がそういう方向に向かって動き出せば、日本経済は、化石燃料や穀物、デジタル資産などを買い付け続けるために、国富の流失に歯止めがかからない危機にも陥りかねない。