ミトコンドリアが活性化する注目成分「デアザフラビン」とは? 医師と研究者が解説
ミトコンドリアを活性化させる補酵素として、近年注目を集める成分「5-デアザフラビン(TND1128、以下略)」について、10月12日に都内で医師と研究者によるメディアセミナーが行われた。 【写真】プロラボホールディングス社の「5-デアザフラビン(TND1128)」サプリメント 東京医科大学医学総合研究所の免疫制御研究部門にて客員研究員を務める荒川玲紀医師は、老化のメカニズムについて「一般的に、分子生物学レベルでの老化には11の特徴があると言われている。5-デアザフラビンは、この老化原因のひとつであるミトコンドリアの機能不全を解決してくれる可能性がある物質」と説明。 荒川医師は「生体におけるエネルギー産生にはミトコンドリアが関係すると言われている。ミトコンドリアはひとつの細胞に約100~3000個存在し、これはヒトの体重の約10%を占めている。ミトコンドリアは糖・脂質・タンパク質をATPというエネルギー通貨に変える力を持っていて、ATPはすべての細胞内に含まれる物質であらゆる生命活動のエネルギー源」といい、 「老化・寿命研究の第一人者である米ワシントン大の今井眞一郎教授は、老化を抑えてくれるNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)の前駆物質であるNMNの加齢による減少が老化原因のひとつであると述べている。マウスに1年間NMNを投与したところ多くの臓器の機能低下が抑えられることが分かっていて、これはNADによってミトコンドリアおよび長寿遺伝子と呼ばれるSirt1(サーチュイン1)が活性化された結果」と語る。
さらに「フラビンとはビタミンB2のことだが、これに第5ポジションのアザ基を取り除いたものが5-デアザフラビン。構造式はビタミンB2骨格でありながら、実際の機能はビタミンB3骨格のNADと同じと考えるのが妥当で、5-デアザフラビンとNMNは基本構造は違うのに機能は同じ方向性を向いている。数百種類のシミュレーションを経て実際に10種類のサンプルを作成し、総合的に最も優れたものが5-デアザフラビン」と紹介した。 線虫で生体エネルギーのATP産生能を見る実験では、ミトコンドリアにおけるATP産生能が非常に高いことが示され、低酸素条件下でマウスの運動量を比較した実験では運動能力の向上が、マウスの海馬の神経細胞に投与する実験では形態成長効果の促進が認められた。ヒトでの長期(120日)摂取評価試験で血管年齢、末梢血流、最高血圧、視力など、肌の状態の体感を数値化して計測したところ、肌色、ハリ、乾燥、肌荒れなどが改善。また、症例として尋常性乾癬や肌のくすみ、乾燥性皮膚炎が改善されたという。 これらのことから、荒川医師は「医学の進歩によって、人類が長い間夢見てきた不老は夢ではない時代となった。おそらく2050年くらいまでには、ある程度老化の治療が完成してくるのではないかと化学者の間では言われている。老化治療へのアプローチはさまざまだが、その中でも新型ビタミンB2誘導体である5-デアザフラビンは、NMNの上位互換というべき画期的なマテリアルだと考えている」と結論づけた。