【解説】LINEヤフー問題 報酬年間45億円の慎ジュンホ氏「出澤社長の4倍」が物語ること 政府の警戒は杞憂か?
LINEヤフー情報流出問題の行政指導で出澤剛社長が総務省に呼ばれた3月5日。実は裏でソフトバンクの宮川潤一社長も呼ばれていた。その理由は…。 国が「経済安保」を急ぎ法制化する中、「基幹インフラ」と位置づけられるLINEヤフーは幾度もの情報流出。しかも、国外にだ。「実害はない」は本当か? 防衛省、国家安全保障局、官邸、永田町で経済安全保障政策の最前線にいる、あるいはつい最近までいた人物達は口をそろえて危機感を唱えた。危機は幻か現実か? 平和ぼけ日本は変わるのか?(日本テレビ経済部 解説委員・安藤佐和子)
■韓国人取締役45億円 VS 出澤社長10億円 の意味
「LINEの慎ジュンホって、知ってます? 年間報酬45億円もらっているんですよ。出澤社長の何倍もですよ。それぐらい韓国人にやりたい放題させている」 3月、「経済安全保障推進法」法制化の裏方を務めた人物A氏はこう指摘した。 慎ジュンホ氏とは…。LINEヤフーの代表取締役CPO(チーフ プロダクト オフィサー)を務める人物だ。 最新(2023年6月)の有価証券報告書を見てみると、確かに慎氏はストックオプションがほとんどとはいえ、LINEからの報酬総額は45億円超を得ている。出澤社長は10億円超とこれもかなりの額だが、慎氏とは大きな差がある。 慎氏は韓国NAVER出身。LINEはもとをたどれば、NAVERの完全子会社だ。A氏は怒りを込めこう言う。「LINEは韓国NAVERに支配されているんですよ」
LINEヤフーをめぐる問題を簡単におさらいしよう。 ■2021年 委託先中国企業からLINEユーザーのテキスト、画像、動画などにアクセスされていた。また、画像や動画は「日本国内にある」と公表しながら、実は韓国のサーバーにも保存していた。→データガバナンスの強化に努めると発表。 ■2023年 9月~ LINEヤフーが業務委託している韓国のNAVER Cloud社がサイバー攻撃を受け、ここからLINEのサーバーに不正アクセスされる。これにより、LINEの利用者や従業員の情報が外部に流出。流出した情報の一例は以下だ。 *ユーザーの個人データ 最大30万2980件(うち日本ユーザー13万192件) *従業者等の個人データ 13万315件(氏名、社員番号、メールアドレス、従業者等を識別する情報、顔写真等)など。 ■2024年 3月5日 総務省が行政指導 総務省幹部はこう言う。 「LINEヤフーは、LINEのサービスをほぼ全部、韓国NAVERに頼っている。言ってみれば、韓国発のサービスに薄皮をかぶせて「LINE」と称しているだけ。問題が起きた時の緊急対応すら日本側ではできない。それでは困るということ」 別の総務省幹部はさらにこのように踏み込んだ。 「LINEヤフーの大株主『Aホールディングス』はソフトバンクとNAVERの50:50の資本構成になっている。普通の企業合併でも51:49にして、どちらがより主導するか明確にするでしょ?主導すれば責任を持つことになるから。役所から資本について『こうしてほしい』とまでは言えないから、(資本構成の見直しを)考えてほしいということ。すぐにはできないかもしれないけど、やってもらうしかない」 【LINEヤフーと韓国NAVERの資本関係】 韓国NAVER ソフトバンク 50% 50% ↓ ↓ Aホールディングス ↓ LINEヤフー ◇ ◇ ◇ こうしたことから総務省は3月5日、LINEヤフーに対し指導書を渡し、"NAVER社から資本的な支配を受ける関係を見直すことを検討できるよう、親会社などにも働きかける"よう求めた。つまり、LINEヤフーの親会社の株式に占める韓国NAVER社の持ち分を減らすために、ソフトバンクが株式取得に動くべきだ、ということだ。 資本関係の変更にまで踏み込んだ異例の行政指導。なぜなのか?情報流出で、どのような実害が発生すると想定されているのか?それは現実的なのか? これらを探るため、「経済安保」の世界で活躍する複数の人物に話を聞いた。