【解説】LINEヤフー問題 報酬年間45億円の慎ジュンホ氏「出澤社長の4倍」が物語ること 政府の警戒は杞憂か?
■防衛省関係者B氏 「情報を使うのは今じゃない」
防衛の分野で長く活躍しているエリートB氏もA氏と同様の強い危機感を示した。 ――総務省がLINEヤフーに、資本のことまで踏み込んで指導した。LINEヤフーの親会社の親会社、韓国ネイバーが持っている株式をソフトバンクが引き取ることを促している。今回の流出で「実害は出ていない」と言っているが、実は経済安全保障上「深刻」ということか? 防衛エリートB氏 「LINEヤフーの情報にアクセスした人は、商売で使おうとしているわけじゃない。そういう次元じゃないんだよ。『いざという時』に使うっていうこと。アメリカでもしょっちゅう『TikTok使用禁止』とか騒いでいるじゃない。個人情報が筒抜けの可能性があって、それをどう使うかはいろいろ。個人にアクセスして、好み、同調しやすい情報を流して、誘導できちゃうんだから」 ――民間人の情報がそんなに役に立つのか? それとも重要人物の情報目当てなのか? 同B氏 「一般人とか偉い人とか関係ないんだよ、情報の使い方だから。今回、不正アクセスがあったのは「韓国」って言ったって、そこから(日本の安全保障上好ましくない他の国に)持って行かれる。使うのは、今の時点じゃない。ウクライナみたいな事態になった時に役割が発揮されるんだよ。知らない間に瞬時に大量のデータを持っていく。AIもあるから、情報処理だって難しくない。危機意識がしっかりしていないとまずいわけだよ」 要するに、"敵国"に利用されるというのだ。B氏はいわゆる「陰謀論」にとりつかれているのか?しかし、B氏の経歴や実績からして、長きにわたり「国家防衛」「安全保障」の分野で活躍しているエリートで、その知見は軽視できない。かつ、前出のA氏の話とも一致しているのだ。
■情報操作で思考を植え付ける
LINE上の情報を盗られると、いったいどんな被害が及ぶのか?A氏は言い切る。 「インフルエンス・オペレーション。マーケティングの世界で当たり前の話」 「単純に言えば、犬を飼っている人はこういう人を支持しやすい、とか。LINEミュージックの履歴から好きな曲がわかれば、クリックしやすいキーワードもわかる。個人情報がわかれば嗜好で人を操作できる」 「インフルエンス・オペレーション」――公安調査庁の文書には、次のように書かれている。 「情報の意図的な利用などにより、人々の認知、意思決定、行動などに影響を及ぼすことを目的にした活動。欧米では外国政府が窃取した情報や偽情報をオンライン上で流布するなど、選挙などに際して世論に干渉することについて、民主主義の基盤を脅かす事態であるとの懸念が強まっている」 盗んだ情報を活用して、いったい誰が、どのように思考を誘導しようというのか? A氏 「中国の出したいメッセージを日本に浸透させるとか」 「日本は独島はあきらめたほうがいい、とか、"徴用工問題"で謝らない政治家はおかしいとか、そういう政治家は選挙で負けさせないとアジアの中でおかしいという思考回路を植え付ける」