日銀・黒田総裁会見10月31日(全文3完)マイナス金利の深掘りは可能
不確実な情勢はまだ続く
それからブレグジットというか、英国のEU離脱の話は、新しいEU離脱条約、合意ができたんですけども、議会で通ってないと。そしてこれから解散して、12月12日に選挙すると。どういう結果が出るかはまだ分からないわけですね。という意味では10月31日の合意なき離脱という、よく英国の人が言う崖から落ちるような話は遠のいたんですけども、なくなったかどうかも分からないし、不確実な情勢はまだ続くわけですね。 それからITサイクルのほうは確かに、アジアのIT関係の貿易を見ると底打ちした感があるんですけれども、どんどん伸びていくのか、どの程度伸びるのかというのは、まだもうちょっと見てみないとですね。ただ、確かにITサイクルがどうも底打ちしつつあるような感じは、私ども持っています。それは明るいほうの材料だとは思っていますけども。 そのほか地政学的リスクとか、その他、アルゼンチンとかいろいろな国の動向とか、いろんなのを挙げると、リスクが低下しているとはちょっとまだ言えないと。むしろ海外リスクというのはこういうものが続いて累積していますので、懸念は高まっているというふうに思っています。
マイナス金利の深掘りはどこまで可能か
日本経済新聞:日経新聞の【シミズ 00:51:52】と申します。よろしくお願いいたします。今回、新しい政策金利のフォワードガイダンスを導入したことに関連して、マイナス金利の深掘りについてお聞きしたいんですが、前回の会見だったと思いますが、総裁、ユーロ圏に比べればまだ利下げ余地はあるんだという趣旨のご発言をされていたと思うんですが、一方で金融機関の収益構造等の違いからして、ユーロ圏ほどマイナス金利を下げることは難しいのではないかという、市場というか専門家の見方もあるんですが、日本の場合、マイナス金利の深掘りというのはだいたいどの程度、つまりユーロ圏ほど進められるのか、いったいどういったイメージでみておられるのか。その辺を教えていただけますでしょうか。 黒田:これがなかなか、なんとも申し上げにくいんですが、現時点でマイナス0.1%のマイナス金利が掛かっているのは、10兆円とか20兆円とかその程度ですから、何百兆という日本銀行における準備預金の額のごく一部で、しかもマイナス0.1と。 欧州の場合は多くの国でマイナス0.5とか、相当大きなマイナスにして、しかもごく一部じゃなくて大半だったり、相当部分に掛かっているということで、その面からは非常に欧州のほうが相当大幅であり、それだけを見れば日本のマイナス金利の深掘りの余地というのは相当あるということはいえると思うんですが、他方でご指摘のように、欧州といってもそれぞれの国で少し状況が違うとは思うんですけども、比較的この利ざやが確保されているというか、そういうことがありますので、マイナス金利のかなり深掘りされていることの影響が、日本の場合ほど大きくないという可能性はあると思います。 だからこちらとあちらと、【リョウテン 00:54:23】があるということは事実だと思うんですけども、私どもは依然として、必要があればマイナス金利の深掘りというのは日本でも可能だし、それは必要の程度によると思いますけども、マイナス0.1でこれ以上深掘りできないということはないというふうに考えています。