33歳石川遼、なぜ米ツアー再挑戦を決めたのか?「(松山)英樹が活躍している今なら…もう一度やらせてあげたい」関係者が漏らした本音
華やかな会場でひとり、もがき苦しんでいた。 2024年10月22日、習志野カントリークラブ。薄暗くなったドライビングレンジに、最後まで残る人影があった。 【変わりすぎ写真】16歳石川遼&松山英樹のサンバイザー姿、かわいすぎる“ハニカミ王子”時代、大きな口カレーを食べるわんぱく遼くん、渋野たちとワイワイ秘蔵写真(全50枚超) ショットを打っては、うつむいて考え込む。スマホで撮影してもらった動画を確認しては、また考え込む。手にはキャロウェイのクラブ。トラビス・マシューの白いウェア。石川遼、その人だった。 午後5時。遠巻きに見守るギャラリーに、警備のスタッフが閉場時間になったことを告げだした。 それに気づいた石川は、ロープ際に歩み寄りサインを始めた。喜ぶギャラリーを、微笑みで見送る。だが、振り返った表情は硬く、沈鬱にも見えるものだった。 再び打席に戻ってクラブを握る。あたりは完全に暗くなっていた。
「今日は軽くショットの練習を…」のはずが
クラブハウスに引き揚げる途中に、池を渡る橋がある。暗い水面になんとなく目をやりながら、ポツリとつぶやく。 「いくらやってもうまくいかない。こんなにうまくいかないことってあるかな」 この週は、PGAツアー(米国男子)で唯一の日本開催である『ZOZOチャンピオンシップ』の期間だった。 開幕2日前のこの日、石川は昼ごろに会場に入った。 練習ラウンドはせず、ドライビングレンジに直行。同行するスタッフは「今日は軽くショット練習をして帰ると思います」と話していた。 だが、練習は想定外に長くなった。 打ち出しから右にそれていく。あるいは、右に打ち出したものの、大きく左に曲がっていく。テイクバックから、ダウンスイングに移るあたりの動きを確認するが、なかなか修正できない。 2時間を過ぎたあたりから、ショットよりも考え込む時間が長くなってきた。これはよくあることなのだろうか。 「いや、これは……今までにないかもですね」 少し離れたところで見守っていた佐藤賢和キャディが、重くつぶやく。練習時間は結局、5時間以上にも及んだ。 2023年のZOZOチャンピオンシップ。石川は優勝争いに割って入り、最終的に4位になった。多くのファンがプレーに熱狂し、心からの声援を送った。 長年抱えてきた腰痛の悪化もあって、2017年にPGAツアー(米国男子)のシード権を失った。復帰した国内男子ツアーでは、選手会長に就任した。 絶大な人気。豊富な経験、見識。試合数が減り続けるツアーを立て直せるのは、遼くんを置いてほかにはいない。そんな期待に応え、石川は男子ゴルフのフロントマンとして奔走した。 その働きは称賛されたが、一方でファンからは懸念もされた。ひとりのアスリートとして、自分の可能性を追求し続けることを、もしかしたらあきらめてしまったのではないか――。 ZOZOチャンピオンシップでの活躍は、そうした見られ方を払拭するものだった。4位に入ったことで、PGAツアーの次戦「ワールドワイドテクノロジー選手権」への出場権を得た。 世界に挑んでこそ石川遼。今年のZOZOチャンピオンシップでもその再現を。寄せられる期待は大きく、強かった。
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