多くのビギナーが「グリーンフォークは使い方が分からないので持ってません」 デコボコグリーンの増加は誰のせい?
グリーンがピッチマークだらけのゴルフ場が増えている
グリーンがピッチマークだらけのゴルフ場が増えています。ピッチマークとはボールがグリーンに着地したときにできる「くぼみ」のことです。このくぼみは本来、ショットを打った本人がグリーンフォークなどを使って周囲の盛り上がった土をかき寄せるように集め、パターの底で平らに直すのがマナーです。 【写真】グリーンキーパーが教える! バンカーのならし方&ボールマークの直し方 ところが昨今は大多数のゴルファーがグリーンフォークを持ち歩いていません。その理由を聞いてみると、一番多いのは「持っていないから」です。ゴルフ場は近年、経費削減のためグリーンフォークを置かなくなっています。ゴルフ場に置いていないとなると、ゴルフショップなどで購入するしかありません。
でも、ゴルフ歴20年以上の筆者ですらグリーンフォークを自分で購入したことはありません。ゴルフ場で以前、入手したグリーンフォークを使い回しています。ゴルフ歴1~2年のゴルファーがグリーンフォークを自分で購入するのはハードルが高いです。 筆者のキャディーバッグのポケットにはグリーンフォークが10本くらい入っていますから、持っていない人に「1本差し上げましょうか?」と声をかけることもあります。しかし「いりません」といわれます。その理由は「もらっても使わないから」です。 「ピッチマークの直し方を図解説明したポスターがクラブハウスに貼ってあるので、それを見たことがあるのですが、○と×の違いが分からないんですよ。間違った直し方をしたくないので、やらないほうがマシかなと。周りもやっていない人のほうが多いですから」 こうなってくると、ピッチマークはショットを打った本人が直すべきという原則が崩れ去ってしまいます。こちらもコンペでたまたま同組になった初対面のゴルファーにピッチマークの修復方法を教える立場でもありません。ゴルフ場関係者はこの問題についてどのように感じているのでしょうか。
使い方を教えるのはゴルフ場の役目?
「ピッチマークの修復は、一般的にはマナーの問題なのかなと思います。でも最近、これをマナーの問題と考えていると、いつまでも解決しないんじゃないかなとも思っています」 「うちのゴルフ場は以前、プラスチック製のグリーンフォークをマスター室前に置いていましたが、今はSDGs(持続可能な開発目標)の観点から廃止しました。したがって現在はグリーンフォークを置いていない状態です。お客様が自分で持ってきて、直してもらう形になります。そうすると持っていない人は当然やりませんよね」 「じゃあ、グリーンフォークを持っていない人にどうしたらピッチマークを直してもらえるか考えたとき、コストの問題はありますが、たとえばチェックイン時にグリーンフォークをお客様に1個ずつ配るという方法があります」 「グリーンフォークをすでに持っているお客様は『オレは持っているからいいよ』とおっしゃるかもしれませんが、グリーンフォークの存在を知らない人は『これは何ですか?』『どうやって使うのですか?』と聞いてくるでしょう。そこでゴルフ場が親切に教えてあげれば、その人を今までと違う世界に導ける可能性があります」 昨今のゴルフ場はピッチマークの問題だけでなく、カートの運転でも同伴者をフェアウェイに置き去りにして自分のボール地点に先回りしたり、ボールが隣のホールに飛んでも「フォアー」のかけ声を出さなかったり、マナーが守られていないというよりも、マナー自体を知らないと思われるケースを頻繁に目撃します。 ピッチマークの修復くらいのことであれば、こちらが1ホールにつき10個ずつ直せば何とかなるかもしれませんが、同伴者の置き去りや「ファー」を言わないのは他者の安全を脅かす行為なのでハラハラします。 今はゴルフ場だけでなく、あらゆる業種でセルフ化が進んでいますが、他業種はセルフ利用の前に必ず利用方法を丁寧に説明します。ゴルフ場は利用者の安全に関わるマナーも数多く存在しますから、初心者に対してもっと丁寧に利用方法を教えるべきではないかと感じます。
保井友秀