「楽天市」「ソフトバンクシティ」の誕生も!? 2025年の不動産市況は地方の過疎化、東京一極集中がさらに進む
12月2日、首都圏を中心にファミリーマンションの開発・建設・分譲事業を展開する総合不動産会社であるクミカが、個人向け・不動産事業者向けの不動産販売事業を展開し、米ナスダック市場に上場しているシーラテクノロジーズを完全子会社化するというニュースが飛び込んできた。 これが株式市場で話題になったのには、いくつか理由がある。 時価総額で2.85倍も大きなシーラテクノロジーズを、クミカが完全子会社化して親会社になると発表されたからだ。いわゆる「小が大を呑み込む」形での経営統合だ。そして、親会社はシーラホールディングスと社名を変え、シーラテクノロジーズ会長の杉本宏之氏が新会社の代表取締役会長として就任することが決まった。 杉本宏之氏といえば、高校卒業後、住宅販売会社に就職、22歳でトップ営業マンとなり、2001年、24歳でエスグラントコーポレーションを設立。28歳のときには“不動産業界で最年少の上場経営者”として株式上場を果たし、一躍トップ経営者の仲間入りを果たした起業家だ。 エスグラントコーポレーションはその後のリーマン・ショックなどの影響を受け、400億円もの負債を抱え経営破綻してしまうが、杉本氏は2010年にはシーラテクノロジーズを設立。いまや売上高200億円を超える企業にまで成長し、再起を果たしている。 そんな不動産業界、不動産マーケットを知り尽くした杉本氏に、2025年以降の不動産市況の動向を聞いた。
◆物件の供給数が人口増に追いついていない
東京23区の新築マンション価格が1億円を超え、一般のサラリーマン家庭では「マンションを買う」のは高嶺の花となった。用地取得費や建築コストの増加などが要因であるが、価格高騰をけん引したのは都心部や湾岸エリアのタワーマンションであろう。 タワーマンションをはじめ、今後の不動産市況について、杉本氏はどのように見ているのだろうか? 「2024年の東京都の人口は10万人ペースで増えています。対して、供給数は1万戸程度。建設費が高騰していることに加え、人口が増えているのに対してマンションの供給数が絞られている以上、需給のバランスから確実に不動産価格は堅調に推移していくと見ています」(杉本氏) 総務省が発表した人口移動報告によると、2023年の東京都の転入超過数(国内における転入者数-転出者数)は6万8285人だった。2024年の東京都の人口は1月1日時点で1410万人、11月1日時点で1420万人。東京都の人口は2024年もすでに約10万人も増えており、「東京一極集中」が加速している。 ただし、不動産価格が一方的に上がるだけかというと、価格にマイナスインパクトを与える材料もある。 「今後、日本は金利が上がっていく時代に入りました。金利が上がっていくと当然、不動産価格下落の要因となりますが、不動産価格上昇の要因を吸収するほどかというと、そこまででもないと思いますので、総合的に考えると不動産価格は堅調に推移していくのではないかと見ています」(杉本氏)