2試合連続完全試合の世界記録達成に迫ったロッテ佐々木朗希の8回降板は正しかったのか…ネット上では支持意見目立つも
それでも佐々木は凄かった。2試合連続完全試合の偉業はならなかったが、数々の記録を更新した。初回と2回に2つずつ三振を奪った佐々木は開幕から25イニング連続で奪三振をマーク。山本由伸(オリックス)が2020年に樹立した、日本人投手による最長記録に並んだ。4回以降は再び毎回を数えた奪三振数は最終的に「14」に達し、開幕から4試合連続で二桁をマーク。1991年の野茂英雄(近鉄・6試合)、2010年のダルビッシュ有(日本ハム・5試合)に続き、史上3人目となる豪腕の仲間入りを果たした。 さらに8回を投げ終えた時点で連続イニング無安打は「17」に伸び、1948年に真田重蔵(大陽)がマークした16回を74年ぶりに塗り替えた。3日の西武戦の8回二死で岸潤一郎から空振り三振を奪って以来、打者52人を連続してアウトに仕留め、2014年にユスメリオ・ペティット(ジャイアンツ)が作ったメジャー最長記録の「46」をも更新した。 決勝アーチを放ち、お立ち台に立った万波も、佐々木への驚きを素直に口にした。 7回一死から代打で起用されたが、2球続けてフォークを空振りし、最後は162kmのストレートでスイングアウト。「ものすごいピッチングをされて歴史的な瞬間を目にしたような気持ちになりました。フォークがめっちゃ落ちるし、真っ直ぐには差されるしホントにやべえなと思いました」と証言した。 橋上氏は、佐々木の“凄さ”をこう解説した。 「ボールに角度があり、回転数が違う。大谷翔平と比較してもボールの質が違っていて、実際は伸びているのではなく落ちていないだけなのだが、打者の感覚としてはコンタクトしようと考えているポイントからボールが浮き上がっているように感じるのではないか。打者はストレートを狙っていても空振りになりボールが前に飛ばない。 そこで同じ腕の振りで147kmのフォークを落とされては誰も対応できない。しかも、そのフォークはコントロール、落差も含めて抜けたボールがほとんどなく精度が高いのだ。打者は追い込まれたくないので早めに仕掛けてくるので、そこでカウントを稼ぎ、ストライクが先行することになり、ますます佐々木が有利のカウントで打者を支配することができるので、ほとんど打たれる感じはしない」 特筆すべきは、3回に宇佐見にカウント3-1から157kmのストレートで捕邪飛に打ち取った場面と、6回二死から浅間をフルカウントになりながら同じく162kmのストレートを外角に投じてスイングアウトに斬ってとった土壇場での集中力とコントロールだ。 もう佐々木は手をつけられない無双状態である。 佐々木の次回先発予定は24日のオリックス戦。完全試合を達成した相手が今度は本拠地で汚名返上に牙を研ぐ。攻略方法はあるのか。 橋上氏も答えは思いつかないという。 「コンタクトでは日本一の技術のある近藤、オリックスの吉田でさえ対応することができないのだから、個の能力で打てという方が無理。あえて言えばフォークの抜けを待つしかないが、データを駆使しても攻略法は見つからない。球数制限をかけていることが明らかになったのだから、序盤からいかに球数を投げさせ、佐々木を攻略するのではなく、佐々木をできるだけ早くマウンドから降ろすことを考えるしかないだろう。ただ、あのボールは狙ってカットはできない。阿部慎之助は現役時代に狙っていないボールをカットする練習を取り入れていたが、そういう練習をしている選手もいないだろうし、球数を投げさせることにも苦労する。ただ手足の長い選手は修正するのに時間がかかる。佐々木がどの程度の修正能力を持っているのかわからないが、調子が悪く、フォームバランスを崩したときに、どれだけの内容をキープできるか、という他力本願にかけるしかないのかもしれない」 佐々木は、2試合にまたがって継続されている“完全”と連続アウトの記録をどこまで伸ばすのだろうか。