2試合連続完全試合の世界記録達成に迫ったロッテ佐々木朗希の8回降板は正しかったのか…ネット上では支持意見目立つも
ネット上では賛否が沸き起こった。 「見たかった」と残念がる声や、井口監督の采配に「なぜ降ろした」と疑問を呈する否定派よりも、佐々木の将来を見越した英断と評価する肯定派が目についた。 BIGBOSSは、試合後、「オレが向こうの立場でも(そのまま)行かせたかったけど、やっぱり代える。難しい」と、その交代を支持した。 一方で巨人、楽天、西武で参謀を務めた現在新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏は「大記録を前にしての交代はどうなのだろうか」と意見を異にする。 「佐々木の将来を考えてのもので、おそらく球団としての育成方針で球数を100球前後と決めているのかもしれない。故障回避の考えは十分に理解できる。今の球界の流れがそこにあることもわかった上であえて言わせてもらうならば、あと3人で2試合連続完全試合という世界的な記録を達成する時点での交代が果たしてファンのための野球だろうか。満員札止めのなか駆けつけてくれたファンへの責任、義務が球団にはあると思う。これで義務を果たしたと言えるのだろうか。新庄監督も、以前メジャーの考え方として、先発は100球ではなく120球まで大丈夫だと言っていた。何が起きるかわからないが、102球から、あと12、13球を投げることが致命的な故障につながったのだろうか。ただもう終わったこと。次なるチャンスに期待したい」 佐々木は、大船渡高3年だった高校野球岩手県大会でも、故障を防ぐ、という國保陽平監督の判断で決勝戦の登板を回避。高校側に苦情が殺到し、評論家を含めた野球関係者やメディアの間で佐々木を巡る大論争が巻き起こっていた。 完全試合達成を目前に控えた投手交代で真っ先に思い出されるのが、中日が3勝1敗で日本ハムをリードして迎えた2007年の日本シリーズ第5戦となる。 8回までパーフェクトを続けていた山井大介を、完投ペースの86球で交代。バトンを引き継いだ守護神・岩瀬仁紀も日本ハム打線を三者凡退に抑え、1-0で逃げ切った落合博満監督の采配は賛否が飛び交う大騒動を巻き起こした。 もっとも、当時は中日の実に53年ぶりの日本一がかかった一戦であり、さらに落合監督は後に自身の著書で山井が右手中指のマメを潰していたと明かしていて今回のケースとは明らかに背景も理由も違う。 メジャーでは今年4月13日のツインズ戦でドジャースの左腕クレイトン・カーショウが7回を完全に抑えたまま80球で降板。是非が過熱した。 ヤンキースで活躍したレジェンド、レジー・ジャクソン氏は自身のツイッターに「これが野球だというのか。一度もやったことがないようなやつは邪魔しないでくれ」と投稿した。ただ、当日は気温3度の極寒のコンディション。今シーズン初登板だった34歳のカーショウはオフに左ひじを痛め、さらにロックアウトの影響で3ヵ月もボールを握っていなかったという事情もあり故障のリスクはあった。 井口監督が言及したように、佐々木は7回あたりから肩で息をする姿が目立っていた。最後の打者になった野村には、2球目のストレートを狙われ、ライト線のわずか50cm外側に弾むファウルを放たれてスタンドのどよめきを誘っている。 その野村を見逃しの三振に斬った163kmのストレートに象徴されるように、球速は出ているが、シュート回転してくる軌道も少なくなかった。フォークボールの制球に苦しむ場面もあった。 もし球数が90球前後で、ピッチング内容に何の不安もなければ、井口監督も降板の決断を思いとどまっていたのかもしれない。