嫌な上司、給料の上がらない職場...「いつも不満をこぼす人」に見えていない一つの要因
「自分は正しく、相手が間違っている」が苦しみのもと
他人や周りの環境に対して不満を感じやすい人と、あまり感じない人がいます。その違いはどこにあるのでしょうか。 これは、「我」が強いことに原因があります。現代風の言葉であれば"エゴが強い"ともいえるでしょう。あらゆることにおいて「私は悪くない! あいつが悪い!」と考えてしまう。つねに「自分は正しい」と思ってしまっている状態です。この世で最も大切にされるべき「私」が不利益を被っている......。その現実を受け入れることができない苦しみですよね。 「私の常識からすると、あなたは道理を外れていて間違っている」 こういった思考に陥ってしまう人は、自分に対しての「貪(欲)」が強すぎるといえるでしょう。一生満たされることのない欲に毒されている状態なのです。自分は絶対に悪くないわけで、一方的に被害を受けたと感じてしまう。しかし、「悪いのは全部○○だ!」と言ったところで、それは責任転嫁にすぎなかったりします。 仏教には「知足」を大事にする教えがあります。"足"ることを"知"る―自らの分をわきまえて、必要以上に求めないということです。 不満は「我」という人間の基本的な欲求を刺激する感情なので、他人や周りに対して不満がありすぎる人の心は、ずっと苦しい状態のままになってしまいます。とらえ方の問題になるのかもしれませんが、自分は絶対に悪くないと思い込んでいるからこそ不満がどんどん増えていくともいえるでしょう。 たとえば、会社からもらう給料についての不満。「まだこれだけしか給料がもらえていない」と思うのと「会社が給料を全然上げてくれない」と思うのは似ているようで違います。「なぜ給料が安いのか?」という不満に対して、前者は自分の能力が足りていないのかもしれないと真摯に向き合っていますが、後者は自分の能力に原因があるとは1ミリも思っていません。 「自分は高い給料をもらえて当然の存在だ」 その勘違いに気づいていない。すなわち、無知であるということですね。もちろん、能力があり一生懸命に努力しているにもかかわらず、あえて安い給料で働かせているというブラック企業の場合はこの限りではありませんが、まずは「自分は本当に給料に見合う仕事ができているか?」ということを客観的に見つめ、自省することが大切だと思います。 業績不振により、「会社をリストラされた」という話は昨今よく聞かれます。「なんで私がリストラされなければいけないんだ?」と会社に対して強い不満や憤りを感じてしまう方が多いかもしれませんが、正確にいえば「会社があなたをリストラした」のです。 会社をクビになったあなたと、あなたをクビにした会社。本当の意味で不利益を被っていたのは果たしてどちらなのか? あなたが会社にとって本当に必要な人材であれば、リストラなどされなかったかもしれません。 厳しい言葉になるかもしれませんが、自分に対する自分の評価と、自分に対する会社の評価が、まったく違うことに気づいていなかった......その可能性も否定できません。