レッドブルが不振のペレス残留を決めたのはなぜなのか。シーズン後半に復調できなければ今度こそ?
レッドブルが苦戦を続けるセルジオ・ペレスに我慢の限界に達したと思われた数週間後、F1のサマーブレイク後もペレスを起用するという決断を下したことは多くの人々を驚かせた。 【動画】ブラッド・ピット主演のF1映画、2025年の公開を前にティザー映像が先行配信 レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーが、ペレスの成績はチームがコンストラクターズチャンピオンを目指す上で「持続不可能」だと語ったのはほんの2週間ほど前のことだったからだ。 そんな中、夏休み前最後のレースであるベルギーGPで、ペレスがフロントロウを獲得。自身の目標を達成したかのように見えた矢先、レースでは振るわず7位フィニッシュ。これにはレッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは「完全に崩れた」と非難した。 コンストラクターズ選手権でマクラーレンの脅威が増し続ける中、レッドブルが必要とする表彰台フィニッシュのパフォーマンスが見えてこないことから、ペレスと歩む道の終わりが近いことを示唆しているように見えた。 しかし、ホーナーとマルコが月曜日にレッドブルのファクトリーがあるミルトンキーンズで話し合いを行ない、考えられていたモノとは正反対の結論が出された。 ペレスがもう戻れないところまで来てしまったと考えるのではなく、ペレスを引き続き起用するというのが、彼らの結論だったのだ。 したがって、レッドブル陣営内のドライバーシャッフルは行なわれず、レッドブルとRBのラインアップは当面変更されない。 この状況についてチームからの公式コメントはないが、motorsport.comによると、複数の要因が重なり、少なくとも現時点ではドライバー交代は正しいことではないと判断したようだ。
■明白な後任候補がいなかった?
ペレスの今のパフォーマンスが理想的とは言えないのは明白だ。ヨーロッパラウンドに入ったエミリア・ロマーニャGP以降、ペレスはわずか28ポイントしか稼げていない。同じ期間でマックス・フェルスタッペンが3勝し130ポイントを獲得しているのを考えると物足りないと言わざるを得ない。 だがチームが現在のドライバーに問題があることを受け入れることと、より良い解決策を提示することはまったく別の話だ。 もしレッドブルの姉妹チームであるRBにセバスチャン・ベッテルやフェルスタッペンのような有望な若手がいて、適切なマシンで勝利をもたらす可能性があったなら、ペレスの結果はほぼ間違いなく違っていただろう。 しかし、レッドブルの上層部はRBの角田裕毅がトップチームで戦うために必要な正しいメンタルアプローチを持っていると完全に確信しているわけではないようだ。 さらにダニエル・リカルドも、今年のパフォーマンスはイマイチだ。ペレスが結果を残せなかった場合、リカルドはレッドブルの保険として機能するはずだったが、角田に10ポイント差をつけられている。 最近のレースでは調子が上向き、シート確保できるほどには状況を好転させたと言えるが、彼をレッドブルに起用することが確実な前進につながるかどうかはまだわからない。 ペレスが解雇された場合、当初はリザーブドライバーのリアム・ローソンがレッドブルのシートに座ることが有力視されていたが、フェルスタッペンと共にコンストラクターズ選手権を争うというプレッシャーのかかる環境に彼を押し込むことは、彼の経験不足を考慮すると一歩踏み込みすぎではないかという懸念もあるようだ。