横綱・照ノ富士が「廃業危機」…!深刻すぎる事態を招いた、相撲協会が抱える「問題と弊害」
伊勢ヶ濱部屋の後継者問題
9月8日に初日を迎える大相撲秋場所。先場所に通算10度目の優勝を果たし、今場所でも本命と見られていた一人横綱の照ノ富士だが、休場することが決まった。 【写真】横綱・照ノ富士が膝につけている「異様な器具」の正体 満身創痍で、いつ引退に追い込まれてもおかしくないが、前編記事『また休場!満身創痍でも引退できない…いま横綱・照ノ富士を苦しめている「深刻な事情」』でも紹介したように、それができない「理由」がある。 「引退後も協会に残るために必要な年寄株を取得しておらず、やめるにやめられない状態です。伊勢ヶ濱部屋の後継者は照ノ富士とみられていますが、部屋を継ぐためには、伊勢ヶ濱親方と年寄株を交換する必要があります。しかし、照ノ富士は交換する年寄株を持っていないばかりか、取得の目途も立っていない状態のようです。 伊勢ヶ濱親方は来年7月に定年を迎えますが、照ノ富士が年寄株を取得できなかった場合、部屋付きの親方がリリーフで部屋を継ぐことになるのではないか。伊勢ヶ濱部屋の部屋付き親方には、元誉富士の楯山親方がいます。また、ベテランの宝富士が年寄『桐山』を取得したという話もあります。こちらもリリーフ候補になるでしょう」(相撲担当記者) 照ノ富士が伊勢ヶ濱部屋の後継者になる条件として、伊勢ヶ濱親方に再雇用を断念してもらい、年寄「伊勢ヶ濱」を継承するというパターンも考えられるが、条件面で折り合いがついていないという。
元横審委員長の提言
「再雇用の見送りをめぐり、伊勢ヶ濱親方と照ノ富士との間で話し合いがあったようです。部屋と株の譲渡に加え、延長分の給与の補償。伊勢ヶ濱親方から照ノ富士に条件提示があったそうですが、金額面の折り合いがついていないようです。 仮に年寄株を取得できないまま怪我や持病を理由に引退となったとしても、引退後5年間は現役時代のしこ名で親方を務められる横綱特権を行使して、協会に残ることができます。その間に年寄株を取得できれば協会に残ることができますが、取得できない場合は5年後に廃業することになります」(相撲担当記者) 力士が引退後も親方として相撲協会に残るためには、105ある年寄株のいずれかを襲名しなくてはならない。しかし、2014年に定年後再雇用が導入された結果、年寄株が慢性的に不足する問題が生じており、協会の将来を担うはずだった人材が協会を去るケースが続出している。元横綱審議委員会委員長の矢野弘典氏はこう指摘する。 「生涯現役という言葉もある時代。その流れを考えた場合、再雇用自体は好ましいことだと思います。ただし、相撲協会は公益財団法人です。制度・構造として問題があり、弊害が出ているのであれば、まずは協会の中で改善を検討すべきだと思います」