「めっちゃいいチームだよ」現役ドラフト移籍、DeNA佐々木千隼投手を救った言葉…「30歳、まだまだできるよ!」背水の陣で変えたものとは
鋭い眼光で相手を射すくめる、その堂々とした佇まい――。 横浜DeNAベイスターズのリリーバーである佐々木千隼がマウンドに上がるとき、その多くはチームにとって非常事態の場面だ。ランナーを多く残した火消しの場面、またタフな延長戦やマウンド上での投手のトラブルによる緊急登板もあった。だが、どんなときであっても佐々木はポーカーフェイスで颯爽と現れ、淡々と仕事をこなす。 【写真】「おかえり~」古巣ロッテ戦で投げる佐々木、ハマスタのお立ち台にあがる佐々木ほか写真を見る 「それでも、反省すべきところは多々あったと思います。僕としては、何て言うんですかね、任された役割を全うできればなって思いながら投げていて……それが少しではありますが、できているのかなって」 謙虚な様子で佐々木はそう言うと、次のようにつづけた。 「以前から変わらず、ビハインドだろうが僅差だろうがフラットで、常に同じ気持ちでゲームに入っていきたいって。そして前のピッチャーが残したランナーは(ホームに)還さないという気持ちは強く持っています」 佐々木はフラットと言葉にはしたものの、語気に若干熱がこもったのがわかった。 「何ていうか、フラットに装っているだけかもしれないですけど、結構熱いモノは(ハートに)あるんじゃないかと自分では思っていますね」 そう言うと、佐々木は照れたような笑みを浮かべた。
すごくやりやすいチームだな
昨年末の『現役ドラフト』で、佐々木は千葉ロッテマリーンズからDeNAへと移籍をした。春季キャンプからチームに合流し、もう半年以上が経過したが、すっかりチームには慣れたのだろうか。 「はい。すごく充実していると感じるようになってきましたし、最初はやっぱりどうなのかなって不安はあったんですけど、皆が本当に温かく迎え入れてくれて、すごくやりやすいチームだなって」 同級生の濵口遥大や佐野恵太、京田陽太は大学時代からの知り合いであり、彼らの存在は心強かった。 「噂通り、ベイスターズには持ち前の明るさというものをすごく感じますね」 もちろん山﨑康晃を中心とした、若く勢いのあるブルペンの風通しの良さも感じている。 「雰囲気がすごくいいですよね。やっぱり代々の先輩たちが築いてきたものがあるなってブルペンで過ごしているとわかるんです」 リスペクトを込め、佐々木はそう語った。これらの言葉からも十分にチームに馴染んでいることが窺い知れる。 今季、ここまでの成績は22試合に登板し、0勝1敗、3ホールド、防御率2.10(9月9日現在)。前述したように、一筋縄ではいかないあらゆる場面でチームを救ってきたが、このスタッツからは、キャリハイとなる54試合、8勝1敗、26ホールド、1セーブ、防御率1.26を記録した2021年以来となる奮起が見て取れる。DeNAに移籍する前の2年間はコンディショニングの不良などにより思うように力を発揮できなかったが、今季は春先にファームで17試合を投げ、防御率0.93といった数字を残すと、5月下旬に一軍に昇格している。 復活というべきか、明らかな変化が感じられるわけだが、DeNAに来てなにが起こったのだろうか。 そう問うと佐々木は宙を睨み、言葉を選ぶように語りだした。 「取り組みを全部変えたというか、これまでやってこなかったことを、とにかく全部やってみようって」
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