【イマドキの大学ゼミ】公共政策を分析・評価する慶應生 卒業後はコンサル・金融業界などへ
金や医療制度、少子高齢化、地方都市の衰退など、社会が直面するさまざまな問題を、国や自治体は税金を原資に解決を図ろうとします。社会にとって望ましい政策は何か、実際の政策に効果はあるのか。慶應義塾大学経済学部の寺井公子ゼミでは、経済理論をもとに、実際に行われている公共政策を分析・評価する手法を学んでいます。 【写真】昔のイメージとは大違い? 女子高生に人気の意外な大学
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ■研究室データ■ 慶應義塾大学経済学部 寺井公子研究会 研究分野:公共経済学・財政学・政治経済学 ゼミ生:30人(男26人:女4人) (2024年4月時点) ゼミ生の選考方法:面接と課題レポート 卒業後の進路:民間企業、大学院進学、国家・地方公務員など :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 中高生にとって、公共政策や経済学は、複雑でわかりにくい分野かもしれません。しかし、私たちは個人では解決できない「公共の課題」の解決を、国や自治体に委ねて生活しており、だからこそ「もっと知りたい」と一歩を踏み出す学生もいます。 寺井公子研究会(以下、寺井ゼミ)に所属する藤井大地さん(経済学部4年)も、その一人です。 「僕は慶應義塾高校からの内部進学ですが、数学から逃げたくないという変なプライドがあり、経済学部に進みました。そして、2年の終わりに就職のことを意識してニュースを見るようになったものの、政府が何をしているのか、大枠しか理解できていない自分に危機感を覚えて、寺井教授のゼミで公共政策や経済の知識を深めたいと志望しました」 ゼミが始まる3年の春学期は、経済政策の教科書を読むことからスタートしました。学生は割り当てられた範囲を事前に読み込み、ゼミ生の前で解説します。 一口に公共政策といっても、税や社会保障から医療、教育、環境、まちづくりなどさまざまです。寺井ゼミでは、学生自身が「面白い」と思ったテーマを選び、研究します。 3年次のハイライトは、毎年11月下旬に開催される三田祭での研究発表です。春学期の終盤に3班に分かれてそれぞれテーマを設定し、夏のゼミ合宿までに資料を集め、秋学期から執筆に取りかかります。 「以前から限界集落に興味があった」という藤井さんは、「地方都市はコンパクトシティを導入するべきか」というテーマに挑みました。 「コンパクトシティ」とは、人口減少を前提として、住まいや病院、交通などのインフラ機能を街中に集約する都市のことです。藤井さんは、まず班のメンバーと手分けして先行研究や文献を探ったうえで、そこに書かれている以外の方法で、自分たちに何ができるかを考えました。これは内容を真に理解していないと難しい作業で、藤井さんは「問題提起から結論までの導き方も文献から学びました」と話します。