F1王者フェルスタッペン出没注意! リアルでもゲームでも最強レベル……シムレースで対戦するのはどんな感じ?
シムレースでの活躍が“アンチ”を振り向かせた?
そしてフェルスタッペンは、シムレースという現実とは少し異なる世界でも才能を発揮している。 バーチャルの世界でも、フェルスタッペンがリアルのレースと同様に、アグレッシブな走りを見せることは驚くことではない。しかしマシンがしばしば“くっつき”、クラッシュしやすくなるiRacingの世界では、巧みなコントロールでホイール・トゥ・ホイールのバトルを切り抜ける必要があるとコンライトは説明した。 「現実世界と全く同じというわけではない。だからマックスができることはクレイジーなんだ」とコンライトは言う。 またコンライトは、フェルスタッペンがいかに“無敵”であるかを物語るエピソードを話してくれた。 フェルスタッペンはある日、全ドライバーが同じマシンを使用する“セットアップ”シムレースに参加し、最適な設定を把握するために8時間の練習時間が与えられた。 「僕の相棒が0.1~0.2秒差で1番手にいたんだけど、マックスがどこからともなくやってきて、0.1秒差で彼を負かした」とコンライトは振り返った。 「このタイムをいったいどこから引き出したのか? マックスは予選で、デフのセッティングやブレーキバイアスをコーナーごとに変えて、コースに最適化していた。彼は全てを導き出して最適化していた……僕の相棒は『こいつはクレイジーだ』と言っていたよ」 バーチャル・ニュルブルクリンク24時間レースでTeam Redlineに次ぐ2位を獲得したオランダのプロ・シムレーサーのライアン・バルネフェルト曰く、類まれなる適応力こそが、どんなレース形態でも速いフェルスタッペンを作り上げているのだという。 「彼が新しいことに適応するスピードはワイルドだよ」とバルネフェルトは語った。 「毎週、あるいは毎日、シムでは違うマシンとコースを走ることになる。だから自分が何をしているのか、どうすればスピードを引き出せるのかを知る必要がある……そして現実のF1では、新しいコースがあっても、彼はマシンに飛び乗り、最初の50分はどのF1ドライバーよりも1秒速く走る。それが彼の適応力だ」 フェルスタッペンのシムレースでの活躍は、ふたつの大きな影響を与えた。まずニッチなeスポーツに注目が集まったことだ。この点に関してバルネフェルトのようなプロは非常にありがたいことだと考えている。これと同時に、食べて寝て、レースに生きるフェルスタッペンの評価も上がった。一時はプライベートジェットにもシムを設置しているのではないかと言われたほどだ。 ただフェルスタッペン最大の功績は、シムレースでの活躍が、“アンチ”を振り向かせたことだと言えるかもしれない。 Motor1のライターで、以前iRacingのオープンロビーでフェルスタッペンと対戦したというクリス・ロサレスはこう語った。 「シムレースのことで私は納得したよ。結局のところ、シムレースは同じコース、同じコンディション、同じマシンが用意され、自分の持っているモノを最大限に活用しなければならない」 「レッドブルでもなく、最高のチームでもなく、全てのコンディションが同じであっても、彼が他を引き離すことができるという事実……彼がやっていることを尊敬せずにはいられないよ」
Gregory Leporati