今は世帯年収600万円ですが、老後、夫婦2人分の年金収入は年間300万円程度です。生活費を半分にして生活できるのでしょうか?
老後資金は、人生の三大資金のひとつです。この前提にあるのは、老後の収入は支出よりも少ないということです。老後の主な収入は年金であり、その金額は現役時代の収入と比べると半分以下になるといわれています。 例えば、現在の世帯年収が600万円で、老後に受け取れる年金額が300万円程度になると仮定します。老後の生活費を半分にすることができれば、収入が半分程度になったとしても問題はないでしょう。しかし、そのようなことはできるのでしょうか。 本記事では「生活費を半分にして生活できるのか?」「年金収入が年間300万円程度の場合、老後資金はどのくらい必要か?」について解説します。老後の家計について、どう考えたらよいのかにも触れていますので、ぜひ最後までお読みください。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
生活費を半分にして生活できるのか?
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編、二人以上の世帯)2023年(令和5年)」によると、65歳以上の方がいる世帯(世帯主が65歳以上、無職世帯)の1ヶ月間の支出(消費支出)は、平均で25万2928円です。この金額を単純に年単位に換算すると、1年間の支出は303万5136円となります。 夫婦2人分の年金収入が年間300万円の場合、年間支出が303万円であれば、支出が収入を上回ることになります。この場合、家計としては貯蓄を取り崩しながら生活していくことになります。 ただ、本記事のタイトルのように「生活費を半分にして生活できるのか?」と聞かれた場合、筆者としては「難しいと思います」とお答えするしかありません。例えば、「年間300万円で生活ができますか?」と聞かれたら、「できます」と答えられます。しかし、「年間600万円の支出を300万円にできますか?」と聞かれたら、「難しいと思います」としかいえないのです。 支出を半分にできるかどうかは支出の内容にもよりますが、一般に、生活水準を著しく下げることは難しいと考えられます。支出を抑えられたとしても、7割から8割程度(年間支出が600万円であれば、420~480万円程度)と考えるのが妥当ではないかと思われます。