アレルギー反応はなぜ起こる? 押さえておきたい基本のメカニズム(専門家が監修)
アレルゲンをIgE抗体がキャッチ。アレルギー反応はこうして起こる
アレルギーで起こる反応にはⅠ型からⅣ型まで4タイプある(下表参照)。このうち花粉症、食物アレルギー、気管支喘息といったメジャーなものはすべてⅠ型。即時型アレルギー、アナフィラキシー型とも呼ばれ、アレルゲンに触れて短時間に蕁麻疹などの症状が出る。 Ⅰ型アレルギー反応が起こるまでには、次のような流れがある。 まず、花粉やハウスダストといったアレルゲンとリンパ球が出合うと、B細胞とT細胞の共同作業により、IgE抗体が作られる。ちなみに、IgE抗体の“本業”は、寄生虫やダニなどからカラダを守ることだ。 放出されたIgE抗体は、マスト細胞や好塩基球といった白血球の表面に付く。これを「感作」という。アレルギー反応のスタンバイ段階だ。 「感作が成立して再びアレルゲンが侵入すると、IgE抗体が素早くキャッチ。その結果、マスト細胞などからヒスタミンやロイコトリエンといった化学伝達物質が放出されます。それにより、アレルゲンを体外へ素早く追い出すため鼻水やくしゃみといったアレルギーの症状が出ます」(東海大学医学部の山田佳之教授) このアレルギー反応を「誘発」と呼ぶ。感作していても、さまざまな事情で誘発が起こらないこともある。
マスト細胞によるアレルギー反応
感作が成立してIgE抗体がアレルゲンをキャッチすると、マスト細胞が内部に蓄えているヒスタミンなどの成分を放出。新たにロイコトリエンなどの物質を合成・放出する。これらの化学伝達物質により、鼻水やくしゃみといった症状が出る。
取材・文/井上健二(初出『Tarzan』No.875・2024年3月7日発売)