年金月31万円・65歳大企業元部長、退職金3,000万円で「軽井沢の別荘」を妻にプレゼント。二拠点生活を始めるも…一人ぼっちであわや老後破産!衝撃の5年後の姿【一級建築士が解説】
仕事一筋で働いてきた人にとって老後の暮らしとは、まさしく“セカンドライフ”、第二の人生の始まりです。たとえば、憧れの海辺の家に住んで、ゆったりとした時間を過ごす。高原の避暑地で自然の風と時間をともにする。そんな夢を描いている人もいるでしょう。しかし、現実は甘くありません。理想を追い求め、購入した不動産が、思わぬ落とし穴になるケースもあります。今回は、Aさんの事例をもとに、老後の不動産購入で気を付けるべきポイントを一級建築士の三澤智史氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
仕事一筋の夫、定年後はどうするか
Aさんは、プライム企業で部長にまで営業一筋でのぼりつめた、現在70歳の男性です。子育てはほとんど奥様に任せきりでしたが、かわいい1人娘は20年ほど前に嫁ぎ、それからは夫婦水入らずの生活を送っています。 娘が嫁いで妻と2人きりの生活になったタイミングで、老後について考えはじめました。仕事を生きがいにしてきたため、特にやりたいことはなかったものの、いままで仕事に忙殺され、妻とゆっくりとした時間を過ごせたら、妻に恩返しができたら、とぼんやりと思っていました。 転機…軽井沢という新たな選択肢 あるとき、YouTubeを流し見していると、軽井沢暮らしを送る夫婦の動画が流れてきました。「軽井沢か……」昔、家族で夏に訪れたことがあったAさん。「夏なのに、木陰はウソみたいに涼しくて過ごしやすかったなあ」パソコンからアルバムフォルダを検索して、その日はついつい夜更かしして当時の思い出に浸ってしまいました。翌朝、目が覚めても余韻が続いていたAさん。「決めた」とつぶやき、妻へ話を持ちかけます。 「定年後は軽井沢に別荘を購入してリゾートライフを送らないか」妻は最初こそ驚くものの、「それも素敵ね」と乗り気な様子。ざっと調べたところ、物件も退職金があれば予算内で購入できそうです。 老後に期待を膨らましつつも、Aさんのまじめな性格は悪い方向に働き、じっくりと老後のことを考えることなく退職の日まで仕事ばかりしていました。いざセカンドライフが始まると、誰に相談するわけでもなく一目ぼれした軽井沢の別荘を、65歳で退職金のすべてを費やし、現金一括で購入することになります。