早産・指定難病・医療的ケア…娘たちの命と向き合い乗り越えてきた。その過去に迫る
心臓病を患っていた三女ひろちゃん
2022年7月に生まれた三女のひろちゃんは、難病に指定される左心低形成症候群という重い心臓病を患っていました。 「今回こそは順調に育ってほしいと思っていました。なぜ、3人目もまた病気と向き合わないといけないのか、世の中は不平等だと思いました。生存率や手術の成功率...調べれば調べるほど怖くなりました」とそのときの思いを語ります。 ※左心低形成症候群…左心室が小さく、左心室から出ている上行大動脈が細い先天性心疾患。 家族は、この病気を受け入れるまで時間はかかりましたが、前を向いていこうと決めたといいます。 そう思えるようになったのは、SNSを通じて知り合った同じ病気のお兄さんお姉さんたち、そしてそのご家族の存在でした。 「病気を抱えながらも笑顔で前向きに過ごされている様子にとても勇気づけられました。これからいろいろな壁にぶち当たることがあるだろうけれど、ひろちゃんとならきっと大丈夫、そう思えるようになりました」 前向きに向き合っていこうと決めたいとつむぱぱさん家族ですが、ここでコロナウイルスによって家族でも面会が制限されることになります。 ひろちゃんの150日の人生のうち、約3分の1が面会禁止期間になったのです。 「ひろちゃんがあまりにかわいそうだと思いました。私たち家族にとっても我が子と過ごす貴重な時間が奪われることになったのです。この間もひろちゃんの容体が日々変化していて不安もたくさんありました。ただそばにいるだけでもいいので『ひろちゃんに会いたい』という思いでいっぱいでした」と、実際に会えることへの大切さについて話してくれました。
ひろちゃんとつむちゃんが初めて面会
ひろちゃんをつむちゃんに会わせたい思いはあるものの、通常の面会は親に限られ、兄弟姉妹の面会はできずにいました。つむちゃんは、ひろちゃんに会いたそうにしていて、写真を通して嬉しそうに見ていたといいます。 2人が初めて会えたのは、生後4ヶ月を迎えたころ。病院の配慮で、つむちゃんと面会することができました。 しかし、この特別な配慮はひろちゃんの状態がよくないことを意味していたのです。 「複雑な気持ちではありましたが、大好きな妹に会うことを楽しみにしていたつむちゃんがとても喜んでいたのが心の救いでした。初めてPICUに入室し、ベッドを見つけて駆け寄ってきて、ひろちゃんの姿をのぞきこんだときのつむちゃんの表情は嬉しそうでした。そして、家族がようやく勢ぞろいできたことが心から嬉しかったです」 ひろちゃんは、生後5ヶ月の記念日を家族みんなでお祝いした翌日、息を引き取りました。 生後3ヶ月くらいから目を覚ますことさえも心臓の負担となり、生後5ヶ月の記念日も、目を閉じていつもと変わらなかったひろちゃん。 看護師さんが気を利かせて抱っこの時間を設けてくれますが、もう抱っこをするのも命がけなくらい衰えていたといいます。 「そのときの抱っこがひろちゃんの温もりを感じられる最期の抱っことなりましたが、一緒の時間を大切に過ごすことができました」 しかしその翌朝、ひろちゃんが危ないという知らせを受けます。そこで再び家族が集まると、ひろちゃんの容体が少し持ち直したといいます。 「その日はつむちゃんがお絵かきや絵本を見せてくれて、穏やかな時間を過ごしました。ひろちゃんもホッとしたのでしょうか。日が暮れるころ急に数値が落ちて、家族みんなに見守られながらお空に旅立ちました」