早産・指定難病・医療的ケア…娘たちの命と向き合い乗り越えてきた。その過去に迫る
保育所に入所することへの苦労
保育所に入所することについても「非常に苦労した」と話すいとつむぱぱさん。 「理解のある自治体で、秋からの保育所の申し込み受付の前に医療的ケア児向けの面談の機会をご用意いただきました。しかし、入所に向けて具体的な相談となると話が進まず、受け入れ枠は確保できているものの、看護師の手配を含めて受け入れ環境が整わないという説明でした。2歳になる年の4月になっても入所できず…。交渉ルートを変えてみるなど粘り強く交渉を続けたことでようやく重たい腰をあげていただきました。加配で看護師を付けていただき、痰の吸引時には他の児童が手を加えることがないようにハード面でも配慮いただきました」 つむちゃんが保育所に通い始めたのは、新年度が始まってから3ヶ月後の7月。2歳から通い始めた保育所も、現在6歳のつむちゃんは5年目となりました。 今では保育所生活が大好きというつむちゃんですが、発声がないことによるコミュニケーションの悩みは大きかったといいます。ベビーサイン、マカトンサイン、手話などいろいろと挑戦したほか、オリジナルサインも作って保育所などと共有したそうです。 ※ベビーサイン…赤ちゃんが言葉を話せるようになる前に、手話やジェスチャーなどの手や体の動きで意思を伝えるコミュニケーション手段。 ※マカトンサイン…「マカトン法」という会話のできない聴覚障害や知的障害を持つ人を対象に作られた、意思疎通の為のコミュニケーション手段の中で使われる、手話のような動作によるサイン。 つむちゃんは5歳8ヶ月の2024年の1月、気管の狭い部分を切り取って繋ぎ合わせる気管形成手術を行いました。2週間はPICUで絶対安静をし、1ヶ月間にわたる入院生活を乗り越えたのです。 そして手術のおかげで空気の通り道ができ、少しずつですが声を出せるようになりました。 「6歳までおしゃべりをしてこなかったので舌や唇の動きは未熟ですが、話そうとする意欲は伝わってきます」といとつむぱぱさん。 ※PICU…新生児の集中治療を行うNICUに対して、生後数週間の乳児から15歳までの小児集中治療に対応するのがPICU。