日本で人気の詩人ロルカ、そしてフラメンコ舞踊。スペイン南部グラナダを旅すれば、その創造力の源泉が感じられる
スペインの詩人、劇作家として日本で人気のフェデリコ・ガルシア・ロルカ(1898~1936年)の専門家でインスティトゥト・セルバンテス会長のルイス・ガルシア・モンテロ氏がこのほど来日。ロルカの創造力の源泉、スペイン南部アンダルシア地方で発展した伝統芸能フラメンコがロルカに与えた影響などについて語った。
ロルカはアンダルシア・グラナダ近郊出身で、モンテロ会長もグラナダ生まれ。ロルカは1928年に発表した詩集「ジプシー歌集」で名声を得た。モンテロ会長は「グラナダへ旅したならば、サクロモンテの丘に歩いて登ることをお勧めします」と言う。かつてジプシーと呼ばれたロマ人が多く住むグラナダのサクロモンテの丘の洞窟住居にはフラメンコを発展させた踊り手、歌い手、ギタリストが多く住んでいたことで知られる。
なぜ、歩いて登ることが重要なのか。ロルカはフラメンコの神髄を説明するために「ドゥエンデ(地霊)」という言葉を使い、アンダルシアの大地に根ざす伝統について論じた。歩いて登ることで「ドゥエンデを体感できる」からだ。歩いているうちに、ドゥエンデを足の裏で感じると同時に、フラメンコの魂が引き継がれ、紡がれてきた土地の雰囲気にひたることができるだろう。
モンテロ氏が会長を務めるインスティトゥト・セルバンテスは、スペイン語の振興と教育、スペイン語圏文化普及の活動を行っており、全世界の拠点で約10万人がスペイン語を学んでいるという。 スペイン語圏の作家のなかで「世界で最も人気があり、数多く作品が翻訳されているのはロルカだ」と言う。インスティトゥト・セルバンテス東京の図書館には、フェデリコ・ガルシア・ロルカの名が冠せられている。「ここにはロルカの著作を始め、多くのスペイン語の図書や映画が所蔵されています。たくさんの方々に利用してもらい、スペイン語圏の文化に触れてほしいです」と話していた。