6分間で衝撃ハットトリックのFWオナイウ阿道はW杯アジア最終予選の秘密兵器になれるのか?
周囲への感謝を忘れないオナイウがマリノスで決めた今季の10ゴールを振り返れば、相手ディフェンダーとの駆け引きを制してペナルティーエリア内でポジションを取り、味方からのクロスやラストパス、あるいはこぼれ球を泥臭く押し込んできたものが多い。 なかにはポストプレーからまず周囲を使い、そのままペナルティーエリア内へ侵入して決めたゴールも含まれている。生粋のセンターフォワードのオナイウは、つまりマリノスで結果を残してきたスタイルで、A代表のなかに鮮やかな爪痕を残したわけだ。 キルギス戦の先発メンバーへ「日本の選手層の厚さを示そう」と檄を飛ばし、ピッチへ送り出した森保監督も2次予選の8戦全勝締めをこう評価した。 「より多くの選手たちにチームのコンセプトを把握してもらいながら、誰が出てもチーム力を落とさずに戦っていけると感じてもらえたと思う」 来たる最終予選でも、攻撃の中心は31歳の大迫が担う。ただ、ブレーメンがブンデスリーガ2部に降格したなかで去就は不透明であり、大迫本人はフォワードとして起用してくれるチームを最優先に、ヨーロッパでのプレーを継続させたい意向を持つ。 そこへシーズンオフ明けという事情も加わり、コンディションの維持に問題が起きやすい9月以降で、指揮官をして「誰が出ても――」と言わしめた試合内容は大きな意味を持つ。身長180cm体重75kgと強靱なフィジカルを持ち、ポストプレーも習得中で、何よりもゴールを奪うという仕事ができるオナイウが計算できる存在となったからだ。 「今回は得点という部分で結果を残せましたけど、連携という部分ではもっとできると思っています。今後は戻ったチームでしっかりアピールして、また代表に呼んでもらったときに結果を残せるように、高い目標をもって取り組んでいきたい」 マリノスで得た自信を代表へつなげ、ハットトリックの快感とともに倍増させた手応えを再びマリノスへ。好循環の真っ只中にいるオナイウはまだまだ残す成長の余地を含めて強敵ぞろいの最終予選で対戦相手を畏怖させる存在になる可能性を秘めている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)