6分間で衝撃ハットトリックのFWオナイウ阿道はW杯アジア最終予選の秘密兵器になれるのか?
キッカーを志願して成功させたPKが呼び水になった。日本代表として決めた初ゴールの4分後に左足で、さらに2分後には頭で次々とゴールネットを揺らした。 わずか6分間で達成したハットトリック。出場2戦目にして初めて先発したFWオナイウ阿道(横浜F・マリノス)が、9月からスタートする予定のカタールワールドカップ・アジア最終予選へ向けて、森保ジャパンの秘密兵器に名乗りをあげた。 無観客のパナソニックスタジアム吹田で、キルギス代表に5-1で勝利した15日のアジア2次予選最終戦。すでにアジア最終予選進出を決めている日本は、1-0で勝利した11日のセルビア代表との国際親善試合(ノエビアスタジアム神戸)の先発メンバーから、MF守田英正(サンタ・クララ)以外の10人を入れ替えた。 そのなかでMF坂元達裕(セレッソ大阪)とともに、待望の初先発を果たしたオナイウが躍動した。まずは「自分で蹴らせてもらいました」と舞台裏を明かした前半27分のPKをゴール左隅へ、相手キーパーの逆を突いて右足インサイドで蹴り込んだ。 自らが獲得したPKだからこそ、ゲームキャプテンのMF原口元気(ウニオン・ベルリン)へキッカーを志願した。右サイドからDF山根視来(川崎フロンターレ)があげたクロスにヘディングを一閃。シュートが相手DFの左手を直撃していた。 両チームともに無得点の均衡を破った4分後の同31分には、ボランチ川辺駿(サンフレッチェ広島)とのあうんの呼吸から2点目を決めた。坂元とのワンツーで右サイドを突破し、一気に縦へ抜け出した川辺が直後のプレーをこう振り返る。 「アド(阿道)があそこに入ってくるのはわかっていたので。上手く裏を取ってくれた」 キーパーと最終ラインの間へ、ペナルティーエリアの右横から川辺がグラウンダーのクロスを放つ。ファーに広がるスペースを左手で指さしながら一直線に走り、最後は左ひざのあたりで泥臭く押し込んだオナイウが思わず自画自賛した。 「あのポジションにいたことが、ゴールにつながったと思っています」 圧巻は同33分の3点目だ。一時的にワントップから右サイドハーフにポジションを変えていたオナイウが、DF中谷進之介(名古屋グランパス)の縦パスを呼び込む。落としたボールを原口が左サイドへ展開する間に、相手ゴール前へ侵入していった。 しかも一度はニアへ走り込みながら、弧を描くように素早くファーへ方向を変える。キルギスの選手の背後を取り続け、フリーの位置を保ちながら最後は宙を舞い、DF小川諒也(FC東京)のアーリークロスに強烈なヘディングを見舞った。 「結果を出せないよりは出せた方が絶対にいいし、ゴールを取るに越したこともない。その意味である程度の結果を残せたと思いますけど、プレーの質というものをもっと上げていかないと、相手のレベルが上がってきたときに自分が通用しなくなる。技術や判断、プレーのスピードといったものをまだまだレベルアップさせていきたい」