70年代には最高速400キロを超えていた! ガルウイングのメルセデス・ベンツ「C111」は数々の世界記録を樹立…ロータリーからディーゼルにV8モデルまでを紹介します
C111-I:600ccの3ローターで280馬力、260キロを誇った
1969年9月11日~21日まで開催されたフランクフルトモーターショー(IAA)で発表された最初のC111-Iは、600ccの3ロータリーエンジンを搭載した楔型の2ドアクーペでドアが伝説の300SLのガルウイングタイプ。ロータリーエンジンと並行して、このC111-Iはガラス繊維強化プラスチック(GFRP)のボディ、接着剤の接着やリベット留めの接合技術など、量産車では限られた範囲でしか実現されていなかった技術がテストされた。C111-Iの象徴なキャラクターは、メタリックオレンジの珍しい塗装仕上げによって強調されていた。ワイン造りに由来する「ヴァイス ヘルプスト(ドイツ語Weissherbst=白い秋)」という名称は、人気のあるワインの輝くオレンジ/ロゼのカラーを意味していた。 なお、このフランクフルトモーターショーのデモンストレーション車両として使用された最初の車両は、まだ白い塗装であったが、後に同様の「ヴァイス ヘルプスト」のメタリックオレンジに塗り直された。 エンジンはインジェクション式の600ccの3ローターでMRレイアウト。最高出力は280ps、最高速度は260km/hであった。フロントサスペンションはダブルウィッシュボーン式独立懸架のノンパラレルピボット、アンチダイブデバイス。リアサスペンションはレーシングカータイプ独立懸架の左右各3トランスバースリンク、2トレーリングリンクであった。 このようにセンセーショナルなデビューを飾ったC111-Iは、パリモーターショー、ロンドンモーターショー、トリノオートショーなど、数多くのモーターショーや見本市に出展された。裕福なスポーツカー愛好家の間では、C111-Iに対してかなりの金額を支払う準備ができていた。例えば、1969年のロンドンでは、自動車愛好家がすでに最大50万ドイツマルクの支払いを申し出た。さらに空白の小切手は、その後数カ月にわたってシュトゥットガルトに配達された。しかし、メルセデス・ベンツはC111-Iが実験試作車で決して販売しないことを明確にした。
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