三菱ケミカルGが米MMA工場の建設を中止する背景事情
三菱ケミカルグループは7日、検討していたアクリル樹脂原料「MMA」の米国新工場の建設計画を中止すると発表した。数千億円の投資を想定し検討を進めていたが、建設費の高騰に加え、顧客企業との長期契約に至らなかった点などから判断した。中止に伴い、今回の投資関連費用の減損処理などで2024年10―12月期以降に約200億円の損失を計上する見通し。25年3月期連結業績予想への影響は精査中。 【写真】アクリル樹脂原料「MMA」を使った自動車テールランプカバー 米国新工場はルイジアナ州での建設を検討しており、すでに用地も取得していた。インフレ影響などで設備投資額が膨らむ中で、顧客との価格や数量の交渉がまとまらなかったという。取得済みの米国の土地は現時点で売却予定はなく、今後も新設を検討する際の候補地の一つにする。 MMAは自動車のランプカバーや塗料などの原料として幅広く使われており、同社は世界シェア約3割を持つ。環境負荷が低い点などを強みとする独自技術「新エチレン法(アルファ法)」を生かした最適な生産体制で事業成長を目指す。