米大統領選は高齢対決の再来か?体調不安のバイデン、刑事訴追のトランプ弱み抱える両氏 選挙まで1年、第3の候補やAIの脅威に注目【共同通信特派員座談会】
▽米国の孤立志向強まる可能性 ―日本政府はトランプ氏の返り咲きに備え始めているとも言われる。米国の外交政策への影響をどう見るか。 新冨哲男(ホワイトハウス担当) バイデン氏や現政権閣僚の外遊に同行すると、会議や会談の合間に関係国の首脳らと親しげに触れ合う場面が目立ち、国際協調を尊重しようとする姿勢を感じる。トランプ氏が当選すれば、「米国第一」を掲げた前回の大統領在任中と同様、米国の外交は孤立志向を強めるのではないか。 トランプ氏はロシアの侵攻を受けるウクライナへの軍事支援継続に懐疑的だ。支持基盤である親イスラエルのキリスト教福音派の意向もくみ、イスラエルが地上侵攻したパレスチナ自治区ガザへの人道支援にはかねて冷淡だった。これまで米国が主導してきた対ロ包囲網は大きく揺らぎ、イスラエルへの支援が加速するだろう。 ―中国への姿勢は変わるか。 新冨 軍事・経済両面で台頭する中国との競争では、バイデン政権は日本を含めたインド太平洋地域の同盟・友好国との連携強化を重視してきた。トランプ氏は対照的に同盟・友好国を再び軽視し、首脳間の個人的な関係構築による事態打開を図るシナリオも予想される。中国の習近平国家主席のほか、核・ミサイル技術の脅威が高まる北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記とも独自の直接交渉に臨む可能性もあり、日本にとって予測が難しくなりそうだ。
▽バイデン氏が抱く強い自負 ―従来はバイデン氏だからこそトランプ氏に勝てると言われてきた。今後、民主党内で戦況が不利となったら交代はあり得るのだろうか。 高木 バイデン氏の最近の演説を見ると、明らかに調子が悪そうな日があって見る人を心配させることが多い。せき込んで声がかすれることもしょっちゅうで頼りなさが目立つ。壇上で既に死亡した議員の名前を呼んで探し、国民をあきれさせたこともある。 リベラル派や若者たちからはバイデン氏がイスラム組織ハマスと戦闘を続けるイスラエルに寄りすぎているとの批判も噴出している。 ただ、政権関係者によると、本人の出馬意思は揺らいでいないようだ。トランプ氏の支持層と重なる白人労働者の票を得られるのは自分だという自負は強い。実際、中西部の労働組合の関係者に話を聞くと、バイデン氏の支持は根強い。 自身が体調を崩すなどしない限り、ハリス副大統領に道を譲る選択肢はないだろう。ハリス氏は当初担当した国境管理などで実績を残すことができず人気がない。 金友 バイデン氏への若者層の支持率低下は見逃せない。ガザ地区を巡る対応で、Z世代と呼ばれる若者やアラブ系など非白人層の支持を失った。これは致命傷になりかねない。若者層は人権への関心が強く、ガザ地区で殺されていく人々の映像をリアルタイムで見て、ショックを受けている。