プーチン政権、志願兵確保に躍起…一時金の追加メニュー・債務免除・帰還時の優遇措置
ロシアのプーチン政権が、ウクライナ侵略に従軍する志願兵の確保に躍起になっている。契約の際に支給される一時金など金銭面の補償や、帰還後の待遇など、優遇策は枚挙にいとまがない。前線での犠牲者が増える中、受刑者の活用や北朝鮮からの兵士派遣でも需要を満たせず、国民に不人気な動員には踏み切れない苦しい現状が透けて見える。 【写真】「体格がきゃしゃ」という指摘も…ロシアに派遣された北朝鮮兵とされる映像
10月下旬、ロシア中部カザン。郊外の地下鉄駅そばの露軍事務所には、契約書類を書くため窓口に列を作る男性たちの姿があった。
「勝利の軍団に参加を」
街中のビラにはスローガンの横に、契約時の一時金「最大210万ルーブル」(約310万円)の数字が躍る。
ウクライナ侵略での前線地域なら月収として「最大21万ルーブル」(約31万円)。国民の平均月収約7万ルーブル(約10万円)の3倍にあたる。
軍事務所のホームページによれば、「攻撃作戦への参加で8000ルーブル」「ヘリ撃墜で20万ルーブル」「戦車破壊で50万ルーブル」など追加の一時金のメニューもある。
申請を済ませた30歳代の男性は「愛国心から応募した」としつつ、一時金にも満足げだ。「これだけあれば、残す家族も生活に困らないはず」。契約が完了すれば、前線に1年送られる。
プーチン大統領は今月23日、少なくとも1年間、ウクライナ侵略に従軍する兵士として契約すれば、最大1000万ルーブル(約1480万円)の債務を免除する法律に署名した。受刑者が契約で恩赦や犯罪歴の抹消などを認められる法律に続き、なりふり構わない措置だ。
今年7月には、契約時に連邦政府から支給する一時金をこれまでの約2倍に増額し、地方当局にも加算を促した。モスクワでは、連邦政府とモスクワ市などの合計で、一時金は520万ルーブル(約770万円)まで跳ね上がっている。
帰還した元兵士には、就職や大学進学の優遇措置、家賃補助などの支援もある。プーチン氏は2月の年次教書演説で前線の兵士ら「愛国者」こそ次代を担うリーダーだと訴え、優遇の必要があると公言している。