米大統領選は高齢対決の再来か?体調不安のバイデン、刑事訴追のトランプ弱み抱える両氏 選挙まで1年、第3の候補やAIの脅威に注目【共同通信特派員座談会】
来年11月の米大統領選まで1年を切った。民主党現職のバイデン米大統領(81)と共和党のトランプ前大統領(77)の再対決が濃厚となっているが、本当にこのまま高齢政治家による選挙戦となるのか。首都ワシントンや全米各地で取材を続ける特派員たちが語り合った。(共同通信ワシントン支局・大統領選取材班) トランプ氏「プーチン氏弱くなった」 停戦すべきだと訴え 6月
▽白人労働者の人気が依然根強いトランプ氏 ―大統領選の話題の中心は現職のバイデン氏よりも前職のトランプ氏になっているように見える。人気は健在か。 高木良平(議会担当・大統領選キャップ) 保守的な中西部、南部、西部の地方の選挙集会を取材すると、トランプ氏を熱心に支持する支持者は依然として多い。前回の大統領在任中に既存のエリート層一掃との公約を実行したと評価している。 支持者には白人労働者が多い。通底しているのは、従来の白人中心の価値観よりも移民や黒人ら少数派、LGBT(性的少数者)の権利擁護を重視する民主党への嫌悪感だ。 米国の主流派だったはずの自分たちが肩身の狭い思いをするのはリベラル派の支配のせいだと思い、有名大学を卒業したインテリ層に見下されていると感じる人も多い。 ―議会襲撃事件などで起訴されて被告人になっているのに、なぜ人気が続くのか。 高木 支持者は民主党のバイデン政権に極めて強い不信感を持っていて、トランプ氏を追い落とすための政治的な捜査をしていると信じている。自分たちの不満を代弁するトランプ氏がバイデン大統領や民主党関係者を汚い言葉でののしっても気にしないという人がほとんどだ。
支持者は事実を度外視する人々のように感じるかもしれないが、日本人記者に対する対応は丁寧だ。むしろ、トランプ氏が自分の都合の悪いことを報じる「偽ニュース」と非難するCNNテレビなどリベラルな米メディアの方が取材は難しい。 ▽共和党穏健派には異論も ―トランプ氏に弱みはないのか。 高木 トランプ氏は77歳と高齢だが、バイデン氏と比べると、声に張りがあって元気そうだ。ただ、7年前の集会で見たときと比べると、当時ほどは生き生きとしていない。 選挙集会で1時間近く続く演説は、終盤になると対抗馬を罵倒することの繰り返しに飽きて席を立つ人も目立つ。共和党の穏健派は、トランプ氏が自身の敗北した前回2020年の選挙結果を認めず不正があったと主張していることを苦々しく思っている。 これまで共和党の牙城だった西部アリゾナ州などで敗北したのは、事実に基づかない主張にうんざりした共和党の穏健派や無党派が離れたからだ。起訴されたこともあり、穏健派や無党派の支持を得るのは難しそうだ。 金友久美子(経済担当) 街中でインタビューをすると、バイデン氏も嫌だけど、トランプ氏も嫌だと言う人が増えてきている気がする。じわりと人気は剝落してきている。