5人が語る 主体的な学びで教科を超えた知を育む【STEAM教育のきざし】
青木さん:授業で生徒がタブレット端末を使っていると、「子どもが何を見ているんだろう」「何か悪いことをしているのか」という「大人の心配」が出てきます。だから生徒には「タブレット端末は『これを使って役に立つ何かを得ている』と思ってもらえるように使いましょう」と、よく話しています。動画を見るにしても、どういうふうに学びがあるのかを先生が位置づけてあげる。今までは「それはマイナスではないか」と思っていただけの発想を変えていく必要があるのではないでしょうか。
大屋さん:社会課題そのものについて、小さい頃から発達段階に応じて触れていくのも大切でしょう。中学生の頃からロボットやプログラミングに触っていたら全然感覚が違ってくるでしょうし、高次になるほど、高い解像度で課題に向き合えるようになるはずです。探究そのものを生徒が自主的にしたいと思うことはすごく大事だと思います。課題に取り組む際、最初はノウハウを伝えますが、だんだんタッチしないようにしていきます。「彼らがやっている」「彼らが進めている」ことが一番大事。原田さんがおっしゃる伴走者、ファシリテーターが一番しっくりします。自分もそうならないといけないと思いますし、そういう人がこれからどんどん増えていくと、ちょっと感覚が変わってくるのかなと思いました。
大草さん:学校現場と子どもだけの話ではなく、今後のSTEAM教育の広がりにおいては社会を構成する私たち1人1人が、未来をどういうふうに描いて行動するかが問われます。
清原さん:皆さんが共通して大切にするべきだと思っているのは「子どもと一緒に」というところですよね。幼い時からいろんな人と関わって刺激を受けるのが大切ということ。そのチャンスをどう作っていくかっていうのが今後のSTEAM教育の充実や推進にあたって、非常に大事かなという気がいたします。
プロフィール
大草芳江 特定非営利活動法人natural science理事 東北大学理学部卒業。2005年、大学院在学中に有限会社FIELD AND NETWORKを設立。07年、特定非営利活動法人natural scienceを設立し理事に就任。
清原洋一 秀明大学学校教師学部 教授 筑波大学第一学群自然学類卒業、筑波大学大学院博士課程(物理学)修士号取得中退。茨城県立高校教諭、茨城県教育研修センター指導主事、文部科学省教科調査官、文部科学省主任視学官などを経て、23年より現職。