5人が語る 主体的な学びで教科を超えた知を育む【STEAM教育のきざし】
チャレンジから生まれる柔軟な発想は企業にも有益
大草さん:ドローンをツールにして、まだ答えがないものにチャレンジするという取り組みがあります。科学技術振興機構(JST)が主催する「サイエンスアゴラ2023」でも小学生対象のブースを出して参加されていましたが、民間企業として教育に関わっていくことのメリットは何でしょうか。
株式会社A-Co-Labo代表取締役CEO原田久美子さん:未来への種まきだと思っています。STEAM教育にこだわらず、課題を見つけて、それを学びの中で自分なりに答えを出して、成功体験を得るという機会をどんどん持ってほしい。そういう思考を持った人はこれからの社会に絶対必要です。子どもは柔軟にいろんな考えを口に出し、形にしてみるところがある。私たちも気づかされるところがたくさんあります。学びを提供する中で逆に子どもたちから無形の価値を得ているなって思うこともあり、そういう部分はメリットかなと思っています。
大草さん:企業として教育に携わるのはそれなりのコストが必要だと思いますが、それは未来に対する投資に加えて、今の現場の方も気づきを得られるというお考えで活動されているということですね。
原田さん:はい。ただ、学校側も難しいところがあると思いますし、企業としても何かやりたいけどコストがかかってしまうという問題があります。ここの溝が埋められれば、もっと社会と教育が繋がっていくのかなと思っています。
清原さん:教育とどう企業が関わるかというのは重要なポイントです。今の取り組みをどう続けていくか。これはこれからの課題かなと、私も非常に感じました。
大屋さん:部活で生徒たちの家庭に負担させる金額には限度があります。助成金など行政で改善していただけたら、どんどん変わっていくだろうなという気がします。
原田さん:STEAM教育を広めていくためにはボトムアップの活動とトップダウンの活動と両立が必要と思っています。学校現場に入らせてもらうと、裾野はすごく広がってきていると実感しますが、ボトムだけ回しても意味がない。上からどういうふうに変わっていくのかも、今後の課題でしょう。そこが変わると、日本の教育は変わるのではないかな。