5人が語る 主体的な学びで教科を超えた知を育む【STEAM教育のきざし】
「STEAM教育のきざし」の最終回は、座談会をお送りする。これまでの3記事で紹介した、高校の科学部や民間企業、中学校の現場で活躍する人々に加え、ファシリテーターとしてNPO法人natural science理事の大草芳江さん、コメンテーターとして秀明大学学校教師学部教授の清原洋一さんを迎え、それぞれの取り組みの成果や今後の展望について語り合った。
探究がモチベーションや思考力を向上させる
NPO法人natural science理事 大草さん:高校の科学部で廃棄物から洗剤をつくる研究に取り組む生徒について、STEAM教育による変化を教えてください。
愛媛県立西条高校教諭 大屋智和さん:おむつ灰の研究をしている生徒は、大学院ぐらいの学びを体験していることで、モチベーションが上がっています。社会実装手前までたどり着いていますので、実際に自分たちが作った洗剤が世の中で使われるかもしれないというワクワク感が結構あるようです。STEAMを活用した先にある未来、社会課題の解決を自分たちで成し遂げた時の達成感とか、いろんな世界が見えているのではないかなと感じます。
大草さん:自分が社会を良くするための提案ができるかもしれないということで、モチベーションが湧くでしょうね。教科についても、勉強しなきゃいけないからではなく、自分たちがこういうことをしたいからという必然性が生徒の中に生まれ、実力もつくだろうと思いますが、いかがですか。
大屋さん:各教科をなぜ学ぶかがしっかりマインドセットされているので、多少難しい問題があったとしても、うちの生徒は乗り越えていくようなイメージがあります。STEAM教育、今やっている探究活動をどんどん推進していくことで、生徒の思考力がすごく深くなっています。
秀明大学学校教師学部教授 清原洋一さん:STEAM教育についてはいろんな捉え方があると思いますが、教科をベースにしながらその先まで取り組めているのが非常に素晴らしいと感じます。先進的な理数教育とともに科学技術人材の育成を図るべく文部科学省に指定されたスーパーサイエンスハイスクール(SSH)として長年培ったものが生かされ、身近な社会問題から、それを総合的にいろんな視点から実際に取り組んでいる。まさにSTEAM教育に結びついていると思います。