LGBTQ+要素が深める上質な人間ドラマ。
人が恋する姿を観ることは、時に辛く、時に切ない。でも深く考えさせられる。LGBTQ+の恋を丁寧に描いた名作は豊富だ。人間ドラマはもちろん、ファンタジーからクライムサスペンスまで、5人のドラマラバーが沼落ちした上質なヒューマンドラマの作品をリコメンド。
#01. 「IT'S A SIN 哀しみの天使たち」 イギリスで社会現象となった話題作。
製作総指揮・脚本はゲイを公表しているラッセル・T・デイヴィス。彼が自身の経験をもとに1980年代のロンドンで、エイズに翻弄される若者たちの10年を描く。同性愛者のリッチー(オリー・アレクサンダー)、コリン(カラム・スコット・ハウエルズ)、ロスコー(オマーリ・ダグラス)、アッシュ(ナサニエル・カーティス)と彼らの親友ジル(リディア・ウエスト)は共同生活を開始するなか、HIVの感染が急激に拡大し、仲間が次々とエイズを発症する。「ゲイたちの恋とSEX、友情、そしてHIV/エイズがもたらす混乱。コロナ禍と重なる部分もあり、考えさせられます」(エスムラルダ) 「LGBTQ+アクティビストで自身もゲイであるオリー・アレクサンダー演じるリッチーをはじめ、自分らしく生き抜く若者たちの姿は強く印象に残る。イギリスのHIV検査数を急増させた貢献作」(かわむら)
#02. 「それでも僕らは走り続ける」 自分の人生を歩む若者たちの成長譚。
裕福な家庭で育った陸上の韓国代表選手キ・ソンギョム(イム・シワン)と映画翻訳家のオ・ミジュ(シン・セギョン)はひょんなことから出会い、ミジュはソンギョムの通訳のアルバイトを引き受けることに。やがてふたりは惹かれ始める。ふたりのロマンスを中心に、生きる世界が異なる者たちが成長する姿を描く。彼らを取り巻く登場人物のなかには、同性へのほのかな想いを抱き続ける者も。それぞれの心境の変化を繊細に描く。「セクハラやパワハラ、権力主義、家族の問題、そして同性愛。自分の思うままになかなか生きていけない現代の若者たちが世間的な常識やしがらみに押しつぶされながらも、それでも少しずつ自分自身を解放していきながら、自分らしく前を向いていこうとする姿に癒やされます」(山崎)