おなかの赤ちゃんに染色体異常が。出産を望むも、医師は「そんなに甘くない」【漫画家インタビュー】
念願の2人目の妊娠だったのに、あんなことになるなんて――。日常の出来事や気づきを描いた「日常観察マンガ」が人気の桜木きぬさん(@kinumanga)は、長男と夫の3人暮らし。2人目を考えてから数年後に妊娠がわかり喜んだのも束の間、医師から染色体異常の可能性があると伝えられる。過去に流産した経験から、子どもを失うつらさを知っていたきぬさんは、一度は出産を決意するが……。 母の葛藤と命の輝きをリアルに描いた『わたしが選んだ死産の話』(医療法人財団順和会山王病院病院長/国際医療福祉大学グループ産婦人科統括教授・藤井知行氏監修)は、きぬさんが自身の体験をもとに描いたエッセイ漫画。第3話では、超音波検査で染色体異常の可能性があると知り、次に羊水検査を受ける。著者のきぬさんに、2人目を妊娠した当時の心境を聞いた。 【漫画】『わたしが選んだ死産の話』を読む
羊水検査は流産のリスクも
――超音波検査から次の検査までの間、どのような気持ちで過ごしましたか? あまり考えないようにしたり、もうダメなのかなと悩んだり、気持ちは不安定でした。もしかしたら検査結果がひっくり返るかもしれない、という淡い期待もありました。実家の母に「おなかの子はだめかもしれない」と報告もしました。このタイミングで話すことにためらいもありましたが、里帰り出産の予定だったので、黙っておくことは難しかったですね。そんなことをしながらみんなで騒いでいるうちに、時間が経っていた感覚です。 ――羊水検査について事前に調べたこと、経験したあとに感じたことがあれば教えてください。 羊水検査は、おなかの中にある羊水を採って調べるのですが、おなかに針を刺すので流産リスクもあるんです。検査がきっかけで赤ちゃんが死んでしまう可能性もある。そういうことを少し調べただけで怖くなってしまって。でももう、検査を受けないという選択肢はない。自分には医療の知識もないですし、流れに身を任せるしかないので、途中から調べることを放棄しました。まさに「まな板の上の鯉」ですね。検査の時間自体はとても短かったです。お医者さんたちも慣れていらっしゃるから、深刻さもなくサラッとしていました。 ――「18トリソミー」という言葉を最初に聞いたときの心境を教えてください。 過去に芸能人の方が、18トリソミーでお子さんを死産されたというニュースを聞いていたので、「この子も無事に産まれないのかもしれない」と思いました。 命について静かに問いを投げかけてくれる『わたしが選んだ死産の話』。きぬさんがどのように死産という選択に至り、その事実と向き合ったのかをご覧いただきたい。