劇的幕切れで「ジャパンXボウル」をオービックが制す…“日大反則タックル騒動”の富士通・宮川泰介はケガで出場機会なく…
アメリカンフットボールの社会人ナンバーワンを決める「ジャパンエックスボウル」が15日、東京ドームで行われ、オービック・シーガルズが富士通フロンティアーズを13-7で破り、7年ぶり9度目の日本一に輝いた。富士通はV5を逃した。2度あったインスタントリプレーで覆った判定の流れを逃さなかったオービックは、攻めてはMVPに輝いたRB李卓が2本のタッチダウンを奪い、ディフェンス陣は第4Q残り1分31秒からの富士通の猛攻を防ぎ切った。また日大出身で2年前の反則タックル騒動の当事者だった富士通のDF宮川泰介は故障のため出場機会がなかった。富士通が敗れたことで、来年1月3日の「ライスボウル」(東京ドーム)での当時の被害者、関学大QB奥野耕世との対決は幻に終わることになった。
残り2秒の攻防
時計は残り2秒を示していた。 6ヤード。富士通のラストプレーである。タッチダウンが決まれば同点。TFPを決めれば劇的な逆転で5連覇の達成となる。今季のXリーグのMVPを受賞しているQBバードソン・マイケルが選択したのは、右のエンドゾーンギリギリにWR宜本潤平を走らせてのタッチダウンパス。アーチを描いた、そのパスにマンカバーで宜本についていたDB久保颯が左手を伸ばした。ボールが指先にひっかかった。弾いてクリア。そこで試合終了である。 オービックの歓喜の抱擁と涙。そして富士通の呆然と悔しさ…。 ドラマチックな幕切れに執念で守りきった勝者の大橋誠ヘッドコーチが言う。 「やるかやられるかの最後の場面。必ずやってくれるとチームを信じていた。きょうの勝利は、7年間苦しんできたコーチ、選手、スタッフの思いがやっと結実したもの。ここまで辛抱してチームを作ってくれた仲間に感謝したい」 2本のタッチダウンをマークした大会MVPのRB李卓も「勝つのは俺たちだと強い信念を持って臨んだ。フットボールを始めたころから目標だった日本一をやっと達成できてよかった。2本取れたのはオフェンスラインのブロックがあってのもの。チームメイトみんなに感謝したい」と胸を張った。 入社4年目。NFLにもつながるCFLに挑戦している慶大出身のスーパーアスリートである。 両チームの実力が拮抗しているからこそ2つのインスタントリプレー(VTR判定)が流れを変えた。