劇的幕切れで「ジャパンXボウル」をオービックが制す…“日大反則タックル騒動”の富士通・宮川泰介はケガで出場機会なく…
富士通は第1Qのシリーズでもファーストダウンまで残り1ヤードの場面で4thダウンギャンブルを狙うのか、手堅くパントを蹴るのかのプレーコールの選択に迷いあたふたした。「うちはノーハドルオフェンス。プレー選択がうまくいかなかった」と山本ヘッド。紙一重のゲームに明暗を与えたのは、そんなベンチワークの小さな迷いだったのかもしれない。 名門復活――。オービックは7年ぶりの頂点である。 「自信をもって試合に臨むが勝てない。それがなんなんだ?が不透明のまま、次のシーズンに望む怖さがずっとあった」 主将のRB地村知樹が「冬の時代」を振り返る。 新型コロナ禍の影響もありZOOMでのミーティングが増えた。それをチーム内の共通意識を高めることに使い、コミュニケーションが密になったという。 「信じることが勝ちにつながる一番のこと。今日改めて感じた」 前人未踏のV5を逃した富士通のサイドラインには宮川泰介がスタイルをせずにジャージ姿でいた。山本ヘッドの説明では、「エレコムさんとのゲーム(第3節)で怪我をして欠場になった」という。 宮川は日大時代の2018年5月に行われた関学大との定期戦で前首脳陣からの醜い指示を受け、反則タックルを敢行してQB奥野を負傷させた当事者である。 大きな社会問題となり、一度はアメフットから離れたが、日大の指導体制が一新したことで復帰。今春からは富士通でプレーをしていた。この試合に勝ち「ライスボウル」への出場を果たせば、相手は関学で、あの奥野と、正々堂々もう一度勝負できるはずだった。13日に日大との「甲子園ボウル」を制した後には奥野も「対戦できればうれしい」と宮川との対決を熱望していた。だが、その対決も幻に終わった。 奥野は、在阪テレビ局への就職が内定しており「社会人でフットボールはしない考え」と語っていた。奥野が、今後もXリーグでフットボールを続ければ、いつかまた対戦の可能性もあったのだが…。2人がフィールドで交わる機会は、もう失われてしまったのかもしれない。