来年の1月、第2次トランプ政権が発足すると、投資の環境はどうなるの?
トランプ氏の掲げる政策は投資にどう影響を与えるか
投資をする際は、一般的に、その政策が金利にどう影響を与えるかを考えます。このため、それぞれの政策について、金利と絡めて考えてみましょう。 1. 経済・財政 トランプ氏が減税をすると、金利は上がりやすくなるでしょう。 なぜならば、減税により国民の懐は豊かになり、その結果、消費が喚起され、物価が上がると考えられるからです。 物価が上がると、中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を引き下げることが難しくなるため、米国債の利回りが上昇しやすくなると考えられます。米国債の利回りが上昇すると、ドルが買われやすくなり、ドル高(円安)に傾くかもしれません。 一方「減税が行われると、財政悪化懸念から米国債が売られやすくなる」と考えることもできるでしょう。米国債が売られると利回りが上昇するため、ドル高(円安)要因になると考えることができます。 2. 通商 トランプ氏の掲げる通商政策は関税の引き上げですが、関税が引き上げられると、輸入物価が上昇します。物価が上昇すると、FRBは利下げしにくくなるため、米国債の利回りが上昇しやすくなると考えられます。このため、関税の引き上げはドル高(円安)要因といえます。 3. 移民政策 メキシコの国境管理を厳格にし、不法移民を取り締まると、賃金に上昇圧力がかかります。なぜならば、企業にとっては安く雇うことのできる労働力が不足するようになるからです。 賃金が上がると労働者の収入が増えます。労働者の収入が増えると、その分使えるお金が増え、消費が活発になります。消費が活発になると物価が上昇しやすくなるため、FRBは金利を引き下げることが難しくなります。 利下げが難しくなると、米国債の利回りが上昇しやすくなることから、ドルが買われ、ドル高(円安)になりやすいといえるでしょう。 4. ウクライナ情勢 「トランプ氏はウクライナに対する軍事支援に消極的である」といわれていますが、仮にウクライナ戦争が終結に向かう場合、原油や天然ガスなどのエネルギー価格が下落する可能性があります。 エネルギー価格の下落は物価の下落につながるため、FRBとしては利下げがしやすくなるかもしれません。利下げの可能性が高まると、米国債の利回りが低下するため、ドル安(円高)になりやすいといえるでしょう。 5. エネルギー政策 トランプ氏の政策により、原油や天然ガスなどの産出量が増えると、エネルギー価格は下落すると考えられます。エネルギー価格が下落すると、利下げの可能性が高まり、米国債の利回りが低下しやすくなるでしょう。米国債利回りの低下はドル安(円高)材料といえます。