「勝負の3週間」終え、各地の感染状況は? 尾身氏が見解、地域ごとに呼び掛けも
政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は21日、臨時の記者会見を開き、「勝負の3週間」とも呼ばれた感染拡大防止期間が過ぎ、4段階のうち2番目に深刻度が高い“ステージ3相当”の都道府県の状況がどう変化したのかについて語った。
分科会は、「勝負の3週間」が終わった時点(12月16日ごろ)で、感染が減少に転じた地域を「シナリオ1」、感染が高止まりしている地域を「シナリオ2」、感染拡大が継続している地域を「シナリオ3」に分類し、それぞれのシナリオに応じた対策を示していた。 尾身会長は、各地がどのシナリオに当たるかは「最終的には知事、国が決めること」と前置きしたうえで「私の個人的な見解」として語り始めた。 まず「シナリオ1」。尾身会長は北海道がこれに当たると指摘。「北海道の場合には早くいろんな対策を打って、ある意味では対策をしっかり打てば、この感染は下火になるということの1つの証左だと思う」と語った。 続いて「シナリオ2」。尾身会長は「大阪や愛知県の名古屋を中心に当てはまると考える」と述べた。そして「シナリオ3」については、「東京を中心としたところ」と分析した。 尾身会長は会見で、「首都圏を沈静化させないと全国の感染を沈静化することができない」と主張。一方で、「いままで何が(感染状況を変える)きっかけか分かってきている」とも語り、国、自治体、国民がそれぞれの感染対策を行えば、「簡単ではないけれども、年末年始にかけて(感染状況を)下方に転じさせることは可能だと思う」と述べた。
尾身会長の呼び掛け内容は?
尾身会長は「全国の皆さんへ」「シナリオ2の地域の皆さんへ」「シナリオ3の地域の皆さんへ」「国とシナリオ3の自治体の皆さん」と分けて、年末年始の行動などについて呼び掛けを行った。 ■「全国の皆さんへ」 尾身会長は「この半年以上の経験を通して、私たちは多くのことを学び、どこが『急所』か分かってきた。急所を押えることができれば、社会活動を全般的に抑制しなくても、感染を収束方向に向かわせることが可能であると分かってきた」と指摘。 食事の際の会話は、飲酒の有無、昼夜、場所に関わらず感染しやすい場面だとし、忘年会・新年会などでは(1)食事は静かに(2)家族・いつもの仲間で(3)5人以上は控えて(4)空いている場所で(5)会話の際はマスクを着用するか、少なくともハンカチなどで口元を抑えて――と「急所」を例示しながら注意喚起した。 また、帰省については(1)感染防止対策の徹底(2)大人数の会食を避ける――ことを求め、対応が難しい場合には帰省することそのものについて「慎重に検討」するよう求めた。 ■「シナリオ2の地域の皆さんへ」 尾身会長は、「よく見ると、シナリオ2では少しずつ効果が表れているのではないか、と示唆するデータが出てきている。下火になっているかもしれないというデータがあるので、これまでの対策を徹底して(新規の感染者数などの数値を)下の方になるべく早く下げてもらえるよう協力をお願いしたい」と述べた。 ■「シナリオ3の地域の皆さんへ」 尾身会長は、「シナリオ3の地域では、これまで対策が取れたにも関わらず、感染が少しずつ増加している。従って、人の移動や接触の低減を含めたさらなる強い対策が必要だ。いままででは不十分だった」と主張。 (1)忘年会・新年会は基本的に見送る(やる場合には、家族やいつもの仲間とで、5人以上は控える)(2)帰省も時期の分散だけでなく、延期も含め慎重に検討する(3)イルミネーションは早目に消灯(4)カウントダウンイベントもオンラインを活用した形で開催(5)混雑した時間帯は避ける――ことなどを強く求めた。 ■「国とシナリオ3の自治体の皆さん」 ここでは尾身会長は国と都道府県知事に以下のことを訴えた。 (1)会食・飲食による感染拡大リスクを徹底的に抑えることが必要 (2)このまま感染拡大するとさらに医療がひっ迫することは明らか (3)現在、首都圏が感染者の多くを占めており、また首都圏では都市部から周辺に感染が染み出している (4)関係する都道府県知事がリーダーシップを早急に発揮し、国もさらなる後押しをし、国と自治体が今まで以上に一体感を持てば、年末年始には感染状況を下方に転じさせることも可能