【フル電動化への前奏曲】復活はすぐそこに ホンダ・プレリュードの歴史をたどる
まさにハイブリッド車のプレリュード(前奏曲)
プレリュードの名がホンダのラインナップから消えて22年。JMSのブースに突然現れたのが「プレリュード・コンセプト」。しかも、コンセプトと謳ってはいるものの、ホンダでは2020年代の半ばには市販を目指して開発中であるという。 ホンダでは2040年までにBEV(バッテリー電気自動車)とFCEV(燃料電池自動車)の販売比率をグローバルで100%にすることを目指している。それに至る前に、ホンダのスポーツマインドを具現化したスペシャリティとフラッグシップ、2つのスポーツEVを市場に投入するとしていたが、そのスペシャリティ版がこのプレリュードだった。 したがって、プレリュード・コンセプトはBEVと思われていたが、じつはe:HEVを採用したハイブリッド車だった。プレリュード(PRELUDE)とは英語で「前奏曲」や「先駆け」の意味。つまり、ホンダのフル電動化に至る前奏曲として、世に出てくるハイブリッド車には、まさに「プレリュード」という名がふさわしいと言えるだろう。 ちなみに、プレリュードの名は開発当初から決まっていたのではなかったが、結果的にこの名を与えることに反対する人は社内にはいなかったという。 歴代のプレリュードとは異なり、テールゲートを備えた3ドアのファストバック・クーペとしたのは、リアシートにプラス2以上の居住性をもたらし、またリアシートをたたんで2シーターとすれば、ワゴンほどではないがラゲッジスペースを有効に使うことも可能だからという目論みもあるようだ。 全体の面構成がシンプルなのは、多くの世代に愛され、また長く乗って欲しいという開発陣の想いも込められているという。2代目や3代目プレリュードに乗っていた人が、現在のパートナーとのデートカーとして、また子どもと楽しむ新時代のデートカーとして選ばれることも願っている。 JMSではインテリアは非公開だったが、グッドウッドでは公開される可能性は高い。実際、JMSの時点でもほぼ完成形だったようだ。ホンダが目指す「2020年代の半ば」は、もうすぐ。スペシャリティカーやスポーツカーには厳しい時代が続いているが、プレリュードのようなハイブリッド スペシャリティスポーツに期待する人は少なくないはず。 ホンダの本格的電動化の「前奏曲」が開演する日を、楽しみに待ちたい。
篠原政明(執筆)