ザックJ 真のA代表に招集されるのは誰だ
ザックが高評価を与えた豊田
ザックジャパンにとって未知の化学反応を引き起こす「触媒」となる存在が、柿谷ならば、前田の攻守両面での献身的な動きとハーフナーの高さの両方を兼ね備えているのが豊田となる。 東アジア杯ではオーストラリアとの第2戦で先発フル出場。ゴールこそ奪えなかったが、前線での的確なワンタッチパスからFW大迫勇也の2ゴールをアシストした。 選手個々に言及することをよしとしないザッケローニ監督が、オーストラリア戦後の会見では「豊田が得点できなかったことが個人的には残念だ。あれだけやってくれたのだから、1点くらい取ってもよかった」と、聞かれてもいない豊田の名前を挙げている。極めて珍しい光景は、それだけ28歳のFWのプレーに大きなインパクトを受けたからに他ならない。 豊田の身長は、前田より2cm高い185cm。水沼氏は、豊田がワントップの位置に入ることで2つの武器が、日本代表に搭載されると指摘する。 「パワーと相手ゴールへ向かっていく迫力の部分では、ゴール前で淡々とプレーしている感をぬぐえない前田よりも豊田の方が上。ただ、足元にボールを収める技術は前田に一日の長があり、その点で本田や香川たちから寄せられる信頼も厚い。ポテンシャル的にも、豊田は代表のワントップ争いに割って入ってきてもおかしくない存在。代表の中に居場所を築いていくためには、ポストプレーをしっかりとこなして、その上でゴール前に飛び込んでいくこと。鳥栖の戦術の中では難しいかもしれないけど、自分でプレーのハードルを上げて、Jリーグで誰もが認める結果を残していかないといけない」 ハードワークによる堅守からのショートカウンターを武器とするサガンでは、前線でのポストプレーを求められるシーンは確かに少ない。そうした状況で豊田は昨シーズンにリーグ2位の19ゴールをマークし、今シーズンも13ゴールで2位タイにつけている。 前田の代表戦におけるゴールは、昨年9月のイラク代表とのW杯アジア最終予選を最後に途切れている。物足りなさを否めない中で、「巧さ」の面で先行されている前田との差を詰め、追い抜くためには、豊田は目標をさらに高く設定しなければならないわけだ。