アメリカ海軍のサプライヤーだった「FIDELITY(フィデリティ)」の無骨で洗練されたもの作り
「P-COAT(ピーコート)」の定番といえば「FIDELITY(フィデリティ)」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。US NAVY(アメリカ海軍)にP-COATや「CPO JACKET(シーピーオー ジャケット)」などを納めていたブランドとして、本国アメリカはもとより日本でも有名だ。 今回はFIDELITYのブランドホルダーでもある株式会社サンマリノ 営業部MDの羽賀 大地さんに、ブランドの歴史から現代のアイテムのことまでお話を伺った。
クオリティの高さが評判を呼びUS NAVYのサプライヤーとなる
「FIDELITYは1941年、GERALD(ジェラルド)氏とSTEWART(スチュワート)氏の兄弟が、アメリカ マサチューセッツ州 ボストンでウールのアウターを作るメーカーとして創業します。 FIDELITYの製品はクオリティが高く、適正価格であったことから、すぐに評判を呼び、US NAVYにアウターを納めるサプライヤーへとなりました」
代表作のP-COATを深掘り
ここでFIDELITYの代表作のP-COATを紹介してもらおう。1940年代のディテールを受け継ぎつつ、現代版にアップデートしているところなどについて伺っていこう。
「P-COATといってもいくつか種類があるのですが、一番オーセンティックなものは“10ボタン”といわれ、錨マークのアンカーボタンが10個付いたモデルなのですが、これはいまでもブランドを代表するアイテムとなっています。
US NAVYに納めていたころのものは軍で使うものなので、タフに作る必要があったと思います。なので、ウール生地は密度が高く、重く、分厚いものでした。 そのP-COATがファッションアイテムになってからは、ウールは軽く、そして、襟やシルエットも当時のものから現代版の洗練されたものにアップデートされています。
一方で昔から変わらず受け継がれている仕様やディテールもあります。防寒、防風目的の襟元のチンストラップや、襟裏に補強の意味で入れられたステッチワークなどはクラシックなままになっているのが、現代のFIDELITYのP-COATです」